この記事の結論
潜在保育士とは、資格を持ちながら、いまは保育の現場で働いていない人のこと。その数は資格者の約半数、100万人規模といわれ、まったくめずらしいことではありません。結婚・出産や体力・待遇を理由に離れた方が多く、「いきなり以前の働き方に戻ろう」とするから不安が大きくなります。逆に、単発・補助から少しずつ始めれば、不安は小さくできます。人手不足の今、ブランクのある経験者はむしろ歓迎されています。
- 潜在保育士の定義と現状、辞めた理由・戻れない理由が分かる
- 復帰の不安を小さくする考え方と、使える支援制度が分かる
- 単発の1日体験から始める、ゆるやかな復帰のステップが分かる
「潜在保育士」という言葉、ニュースで見かけたことがあるかもしれません。保育士の資格を持っているのに、いまは保育の現場ではたらいていない人のことです。
もしあなたが「資格はあるけど、もう何年も現場から離れてる…」という状態なら、それは全然めずらしいことじゃありません。この記事では、潜在保育士がこんなに多い理由、復帰への不安の正体とその解消法、そして戻りたくなったときの「ゆるやかな戻り方」を、順番にお話しします。

江波戸 純希えばと よしき
WEBBOX合同会社 代表/スキマほいく運営責任者
保育士向けの求人サービス「スキマほいく」を企画・運営。保育施設の採用と、保育士の職場さがしの両方に日々関わる立場から、求人サービスの仕組みや、求人票では分からない職場の見極め方を発信しています。厚生労働省・こども家庭庁の一次情報にあたりながら、記事内容を確認しています。
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潜在保育士とは?どれくらいいるの?
潜在保育士の定義
潜在保育士とは、保育士の資格を持っているのに、現在は保育の現場ではたらいていない人のことです。資格を取ったあと一度も働いていない人も、以前は働いていて今は離れている人も、どちらも潜在保育士に含まれます。大切なのは、資格そのものに有効期限はなく、いつでも現場に戻れるということ。「ずっと離れていたから、もう資格が使えないのでは」と心配する必要はありません。
資格者の約半数、100万人規模という現状
全国で保育士資格を持つ人は約173万人。でも、実際に保育の現場ではたらいているのは約66万人ほどといわれています。つまり、資格を持ちながら現場を離れている潜在保育士は100万人規模、資格者の約半数にのぼる計算です。
参考:厚生労働省の保育人材に関する資料より。数値は年度によって変わります。
資格を持つ人の半分以上が現場にいないのですから、「わたしだけが逃げた」なんて思う必要は、まったくありません。それだけ多くの人が、さまざまな事情で一度現場を離れているのです。
保育士が現場を辞めた理由
潜在保育士がこれほど多いのは、保育士が現場を離れやすい事情があるからです。よく聞かれる理由には、次のようなものがあります。どれも、がんばってきた人ほど抱えやすいものばかりです。
- 結婚・出産・引っ越しなどのライフイベント:自分の生活が変わり、それまでの働き方を続けにくくなるケース。とくに出産・育児を機に離れる方は多くいます。
- 給料と責任のバランスへのもやもや:命を預かる責任の重さに対して、待遇が見合わないと感じてしまうケース。
- 仕事量の多さ・持ち帰り:日々の保育に加え、行事の準備や書類仕事に追われ、心身が疲れてしまうケース。
- 人間関係:職場の人間関係に悩み、続けるのがつらくなってしまうケース。
- 体力や心の疲れ:立ち仕事や気の張る毎日で、体力的・精神的に限界を感じてしまうケース。
これらは、あなたの努力が足りなかったから起きたことではありません。多くの保育士が同じ壁にぶつかり、一度立ち止まっているだけです。給料の面が気になる方は、保育士の給料と処遇改善のいまもあわせてどうぞ。以前より水準が上がっている部分もあります。
資格があっても復帰をためらう理由
「そろそろ戻ろうかな」と思っても、なかなか一歩を踏み出せない。その気持ちの正体は、だいたい次の4つに分けられます。正体が分かれば、対策も見えてきます。
ブランクへの不安
「何年も離れている間に、やり方や決まりが変わっているのでは」という不安です。たしかに記録のICT化など変わった部分もありますが、子どもと関わる保育の基本は、そう大きく変わっていません。離れていた期間が長いほど不安は大きく感じますが、現場に少し入れば、体が思い出していきます。
体力・年齢への不安
「フルタイムで、またあの毎日に戻れるかな」「もう若くないし」という不安です。でも、復帰の入り口はフルタイムだけではありません。短時間や単発、週1〜2日から始めれば、体力に合わせて少しずつ慣らせます。いきなり全力で走る必要はないのです。
責任の重さ・待遇への不安
「また責任の重い担任を任されるのでは」「待遇はどうなんだろう」という不安です。復帰のはじめから担任を持つ必要はなく、配置基準に入らない補助のお仕事から始める道もあります。待遇も、処遇改善で以前より上向いている職場が増えています。
家庭・育児との両立の不安
「子どもがまだ小さいから」「家庭と両立できるか」という不安です。これも、入りたい日だけ働ける単発や、送り迎えの時間に合わせた短時間パートなど、家庭に合わせた働き方を選べば解決できます。家庭を優先しながら、少しずつ現場に戻る方はたくさんいます。
【30秒診断】復帰、何から始める?
「戻りたい気持ちはあるけれど、何からすればいいの?」という方へ。5つの質問に直感で答えるだけで、あなたに合った復帰の始め方が分かります。気軽にやってみてください。
復帰、何から始める?
直感で選んでOK。結果に応じて、あなたに合った復帰の一歩を提案します。
質問 1 / 5
あなたに向いているのは
おすすめの進め方
復帰の不安を小さくする考え方
ためらう理由の正体が分かったら、次はその不安を小さくする番です。ポイントは「いきなり以前と同じ働き方に戻ろうとしない」こと。段階を小さく刻めば、不安も小さくできます。
ブランクは補助業務から埋められる
ブランクの不安は、いきなり担任を持とうとするから大きくなります。まずは補助業務から入り、先輩保育士のサポート役として現場に慣れるところから始めれば、少しずつ勘が戻ります。分からないことは周りに聞ける環境なので、一人で抱え込む必要もありません。
体力は短時間から慣らせる
体力の不安は、働く時間を短く区切ることで解消できます。1日だけの単発や、午前だけの短時間から始めれば、体への負担を見ながら調整できます。慣れてきたら少しずつ日数や時間を増やしていけば、無理なく体力を取り戻せます。
最新の保育は、現場で学べる
「今のやり方についていけるか」という不安は、机の上で勉強するより現場で少しずつ思い出すのがいちばんです。単発で何日か入るうちに、記録の書き方や1日の流れは自然と分かってきます。支援センターのブランク向け研修を活用するのも良い方法です。
家庭と両立できる働き方を選ぶ
家庭との両立は、働き方を自分で選べば実現できます。入りたい日だけ働く単発、送り迎えに合わせた短時間パートなど、生活に合わせた形から始めましょう。副業として休日だけ働く、という方法もあります(保育士の副業のはなしもどうぞ)。
保育士・保育所支援センターのサポート
復帰を考えるとき、一人でがんばる必要はありません。各都道府県には保育士・保育所支援センターが設けられていて、ブランクのある方の復帰を支えるさまざまなサポートを行っています。
- 再就職の相談:復帰への不安や希望を、専門の相談員に話せます。
- ブランク向けの研修:最新の保育を学び直せる研修が開かれています。
- 就職のあっせん:希望に合う園を紹介してもらえることもあります。
- 就職準備金の貸付:自治体によっては、復帰する方に準備金を貸し付ける制度があります。
制度の有無や条件は地域によって違います。まずはお住まいの都道府県・市区町村の窓口や、支援センターのサイトで確認してみてください。
復帰までのゆるやかなステップ
ここまでを踏まえて、実際に復帰するときの流れを見てみましょう。ポイントは、小さく始めて、確かめながら進むこと。まずは、復帰の入り口になる3つの働き方を見くらべてみてください。
| 働き方 | 気軽さ・続けやすさ | 収入の安定 | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|
| 単発(1日から) | ◎ 入りたい日だけ | △ 働いた分 | まず現場を試したい/家庭を優先したい人 |
| 短時間パート | ○ シフトを調整できる | ○ 毎月ある程度一定 | 少しずつ体を慣らしたい人 |
| 常勤(フルタイム) | △ 責任もともなう | ◎ 安定している | しっかり復帰したい人 |
いきなり常勤を目指す必要はありません。気軽さでいえば、単発が復帰のいちばん低いハードルです。次の順番なら、不安を最小限にしながら戻れます。
ステップ1:まず1日体験で、現場の空気を確かめる
いちばんのおすすめは、配置基準に入らない保育補助として、1日だけ現場に入ってみることです。子どもたちの空気、1日の流れ、体の動かし方。1日はたらけば「思ったよりできた」が自信になります。だめならその日で終わりですし、いけそうなら次の一歩が踏み出せます。しくみは単発バイトの記事と保育補助の記事でくわしく説明しています。
ステップ2:短時間・補助で、少しずつ慣らす
1日体験で手応えを感じたら、週1〜2日や短時間から、少しずつ回数を増やしていきましょう。処遇改善で給料の水準は以前より上がっていて、時短・週2〜3日・補助専任など、はたらき方の選択肢も増えています。「昔のイメージ」のまま判断せず、今の現場を体験しながら、自分に合うペースを見つけてください。
ステップ3:合う園が見つかれば、次の一歩へ
実際にはたらいた園を「ここ、好きかも」と思えたら、その園にそのまま採用の相談をする順番なら、入ってからの「こんなはずじゃなかった」がほぼありません。もちろん、単発のままでもOK。常勤に戻るのも、パートで続けるのも、単発を続けるのも、すべてあなたの自由です。あなたのペースがいちばんです。
監修者コメント江波戸 純希(WEBBOX合同会社 代表/スキマほいく運営責任者)施設側は、ブランクのある方を歓迎しています。人手不足という事情もありますが、それ以上に子育てを経験した方の視点が現場で役立つからです。
保護者の不安が分かる、というのは大きな強みです。ブランクは、キャリアの空白ではありません。
潜在保育士の力は、今こそ求められている
「ブランクがあるのに、必要としてもらえるのかな」と不安に思うかもしれません。でも、実際はその逆です。深刻な保育士不足が続くなか、資格と経験を持つ潜在保育士は、現場からとても必要とされています。
とくに、いったん社会や家庭を経験した方の視点は、現場で大きな強みになります。子育てを経験したからこそ分かる保護者の気持ち、他の仕事で身につけた段取りやコミュニケーション。これらは、ずっと現場にいた人にはない財産です。ブランクは、マイナスどころかプラスにもなり得ます。
そして、復帰先は昔ながらの認可保育園だけではありません。小規模保育・企業内保育・院内保育・学童など、はたらき方の選択肢は広がっています。単発で色々な園に入りながら、自分に合う場所を見つけていけます。子どもと関わる仕事の幅を知りたい方は、子どもと関わる仕事の種類もあわせてどうぞ。あなたの資格と経験を活かせる場所は、きっと見つかります。
サポートを受けて転職したい人向けの転職エージェント
自分で求人を探して直接応募するのが合う方もいれば、担当者に相談しながら、年収などの条件交渉まで任せたいという方もいます。「サポートを受けて、しっかり転職したい」という場合は、次のような転職エージェントも選択肢になります。
マイナビ保育士

首都圏での転職なら!
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向き・不向き
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- 手厚いサポートを受けたい
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向いていない人
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保育士ワーカー

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向き・不向き
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向いていない人
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潜在保育士の復帰によくある質問
潜在保育士とは何ですか?
保育士資格を持ちながら、現在は保育の現場で働いていない人のことです。資格者の約半数、100万人規模といわれています。結婚・出産や体力・待遇などを理由に離れた方が多く、めずらしいことではありません。資格に有効期限はないため、いつでも現場に戻れます。
ブランクがあっても保育士に復帰できますか?
できます。保育士資格に有効期限はなく、取り直しも不要です。人手不足の今、ブランクのある経験者はむしろ歓迎されています。いきなり常勤ではなく、単発や短時間の補助から少しずつ慣らせば、不安なく戻れます。まずは1日だけ試してみるのがおすすめです。
何年も離れていましたが、今のやり方についていけますか?
記録のICT化など変わった部分もありますが、子どもと関わる保育の基本は大きく変わっていません。単発の補助から入れば、現場で少しずつ思い出せます。最初から一人で担任を持つわけではないので、周りに聞きながら安心して始められます。
復帰するとき、保育士登録はやり直す必要がありますか?
資格そのものは一生有効で、取り直しは不要です。ただし、登録証を紛失している場合は再交付の手続きが必要です。また、結婚などで氏名が変わった場合は、登録内容の変更手続きが必要になります。手元の登録証を確認しておきましょう。
潜在保育士向けの支援制度はありますか?
各都道府県の保育士・保育所支援センターが、再就職相談や研修、就職のあっせんを行っています。自治体によっては就職準備金の貸付(一定期間働くと返済が免除されるもの)もあります。条件は地域で異なるため、お住まいの窓口で確認してください。
家庭や育児と両立しながら働けますか?
できます。単発なら入りたい日だけ、短時間パートなら送り迎えの時間に合わせてなど、家庭に合わせた働き方が選べます。まずは月1〜2日の単発から始めて、生活に合うペースを見つけるのがおすすめです。家庭を優先しながら復帰する方はたくさんいます。
いきなり正社員(常勤)で戻るのが不安です。
無理に常勤で戻る必要はありません。まず単発の補助で1日だけ現場に入り、「またやれそう」と感じてから次を考えれば大丈夫です。実際に働いた園が気に入れば、そのまま採用の相談に進むこともできます。単発を続けるという選択もあります。
監修者コメント江波戸 純希(WEBBOX合同会社 代表/スキマほいく運営責任者)復職の第一歩は、面接でも資格の確認でもなく、「自分がまだやれるか」を自分で確かめることだと思います。
1日だけ現場に立てば、答えは出ます。だめならその日で終わりですし、いけそうなら次の一歩を踏み出せます。
まとめ
潜在保育士は、資格者の約半数、100万人規模。あなたが現場を離れているのは、まったくめずらしいことではありません。復帰への不安の正体は「いきなり以前の働き方に戻ろうとすること」にあります。単発の1日体験 → 短時間で慣らす → 合う園が見つかれば次の一歩、と段階を小さく刻めば、不安は小さくできます。
人手不足の今、ブランクのある経験者はむしろ歓迎されています。子育てや社会経験を経たあなたの視点は、現場で求められている強みです。ねかせたままの資格を、もう一度活かしてみませんか。まずは1日だけ、補助のお仕事から。あなたのペースで、ゆっくり戻れば大丈夫です。
復職の相談を受けていて痛感するのは、ブランクそのものより「怖さ」が壁になっているということです。何年も離れていると、できるかどうか自分でも分からなくなります。
だからこそ、いきなり常勤で戻る必要はありません。まず1日だけ、補助として入ってみる。それだけで「体が覚えていた」と気づく方をたくさん見てきました。