この記事の結論

派遣保育士は派遣会社に雇われて園で働く形で、時給の目安は約1,400〜1,700円。パート(約1,100〜1,300円)より高く、原則として担任を持たないため持ち帰り仕事も少なくなります。一方で賞与・退職金がなく、同じ園で働けるのは原則3年まで。「保育は続けたいが、担任の重さからは離れたい」という人に向いた働き方です。時給が高いのは、派遣会社が賞与ぶんを時給に上乗せしているためで、決して怪しい仕組みではありません。

  • 派遣保育士の時給相場と年収がシミュレーターで分かる
  • 正社員・パートとの違いが比較表で分かる
  • 3年ルールや担任の可否など、契約の注意点が分かる

「派遣は不安定でしょう」「派遣保育士はやめたほうがいいと聞いた」。そう思っている方は少なくありません。ただ、実際に選んでいる人の多くは、消去法ではなく「時給と責任のバランスがいちばん良かったから」という理由で選んでいます。

この記事では、派遣保育士の仕組み、時給の相場、正社員やパートとの違い、そして契約で見落としやすい注意点までを、まとめて解説します。

監修者 江波戸 純希
この記事の監修

江波戸 純希えばと よしき

WEBBOX合同会社 代表社員/スキマほいく 編集責任者

職業紹介責任者講習を修了し、有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍して、看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で転職支援を担当。この職業紹介に関する経歴は、本サービス以外での実務経験です。現在はWEBBOX合同会社の代表社員として保育士向けの求人情報サービス「スキマほいく」を運営し、厚生労働省・こども家庭庁の一次情報にあたりながら記事内容を確認しています。

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この記事の目次開く閉じる
  1. 派遣保育士とは?雇用主が園ではないという仕組み
  2. 派遣保育士の時給相場は約1,400〜1,700円
  3. 【シミュレーター】派遣保育士の月収・年収はいくら?
  4. 派遣保育士と正社員・パートの違い【比較表】
  5. 派遣保育士のメリット5つ
  6. 派遣保育士のデメリット5つ
  7. 派遣保育士は担任を持つ?できない業務はある?
  8. 派遣保育士の3年ルールと無期雇用派遣
  9. 派遣保育士として働き始めるまでの流れ
  10. 派遣保育士に向いている人・向いていない人
  11. 派遣会社の選び方と、契約前に確認すること
  12. サポートを受けて転職したい人向けの転職エージェント
  13. 派遣保育士に関するよくある質問
  14. まとめ:派遣保育士は「時給と責任のバランス」で選ぶ働き方

派遣保育士とは?雇用主が園ではないという仕組み

派遣保育士のいちばんの特徴は、雇用主が保育園ではなく派遣会社であることです。給与も社会保険も派遣会社から支払われ、園からは「指揮命令」だけを受けます。

雇用主(給与を払う)指揮命令(仕事の指示)
派遣保育士派遣会社保育園
パート保育士保育園保育園
正社員保育士保育園保育園

この違いが、あとで出てくる「担任を持たない」「業務範囲が契約で決まる」という特徴すべての土台になっています。園はあなたに、契約に書かれていない業務を勝手に増やせません。困ったことがあれば、園にではなく派遣会社の担当者に相談するのが基本の流れです。

※労働者派遣は労働者派遣法にもとづく仕組みです。スキマほいくは求人情報を掲載するサービス(募集情報等提供事業)であり、派遣事業や雇用のあっせんは行っていません。派遣で働く場合は、許可を受けた派遣会社にご登録ください。

監修者 江波戸 純希監修者コメント江波戸 純希(WEBBOX合同会社 代表社員/スキマほいく 編集責任者)

派遣について「不安定だからやめたほうがいい」と言われがちですが、選んでいる方の多くは消去法ではなく、時給と責任のバランスで選んでいます

とくに経験のある方ほど、「契約に書かれていないことは断れる」という構造を評価します。正社員のときには断りにくかった業務が、はっきり線引きできるようになるからです。

派遣保育士の時給相場は約1,400〜1,700円

派遣保育士の時給は、地域と経験によって次のような幅があります。

エリア時給の目安備考
東京・神奈川など首都圏1,500〜1,800円都心部の駅近は高めになりやすい
大阪・愛知など都市部1,350〜1,600円求人数も比較的多い
地方都市1,200〜1,400円パートとの差が縮まる地域もある
(参考)パート保育士1,100〜1,300円直接雇用のため賞与がある園も

※各種求人情報からの一般的な目安です。実際の時給は園・時期・経験年数によって変わります。

なぜ派遣保育士の時給は高いのか

「時給が高いのは何か裏があるのでは」と不安に思う方がいますが、理由ははっきりしています。賞与と退職金がないぶんが、時給に上乗せされているからです。

正社員の場合、園は月給のほかに賞与・退職金・研修費用を負担します。派遣ではそれらがない代わりに、園が派遣会社に支払う金額の多くが時給として支払われます。年間の総支給で比べれば正社員のほうが多くなることが普通で、時給だけが高いのはそのためです。

【シミュレーター】派遣保育士の月収・年収はいくら?

時給と勤務時間を選ぶと、額面の月収・年収の目安が出ます。

かんたん試算

派遣保育士の月収・年収シミュレーター

時給と働き方を選ぶだけ。額面の目安が出ます。

額面の目安

※額面の概算です。社会保険料・税金は含みません。祝日や年末年始の休園で実際の勤務日数は前後します。交通費は別途支給の求人が多くあります。

正社員の年収と比べたい場合は、保育士の給料は手取りいくら?の年代別早見表とあわせて見てください。

派遣保育士と正社員・パートの違い【比較表】

派遣保育士正社員パート
雇用主派遣会社
時給・年収1,400〜1,700円年収400〜430万円1,100〜1,300円
賞与なしあり(2.5〜3か月)園による
退職金なしあり(規定による)ほぼなし
担任原則なし持つ持たない
行事・書類ほぼなし多い少なめ
残業少ない多い少なめ
勤務期間同一園で原則3年まで制限なし制限なし
相談先派遣会社の担当者園長・主任園長・主任
家賃補助ほぼ対象外対象になりやすい対象外が多い

見落とされがちなのが最後の家賃補助です。借り上げ社宅制度は月8万円前後と金額のインパクトが大きく、これを使えるかどうかで実質の手取りは大きく変わります。詳しくは保育士の家賃補助・住宅手当をご覧ください。

派遣保育士のメリット5つ

  • ① 時給が高い。パートより時給で200〜400円ほど高くなるのが一般的です
  • ② 担任・行事・書類の負担が軽い。持ち帰り仕事がほぼなくなります
  • ③ 業務範囲が契約で決まっている。「これもお願い」が起きにくい構造です
  • ④ 園と直接交渉しなくていい。条件の相談や人間関係の悩みは派遣会社の担当者が窓口になります
  • ⑤ 合わなければ契約期間で区切れる。多くは3か月更新で、次の職場に移りやすい形です

とくに③は、経験者ほど実感しやすい部分です。正社員のときには断りにくかった業務も、派遣なら「契約に含まれていません」と派遣会社を通して言えるようになります。

派遣保育士のデメリット5つ

  • ① 賞与・退職金がない。年間の総支給では正社員に届かないのが普通です
  • ② 昇給がほぼない。時給は契約更新のタイミングでしか変わりません
  • ③ 同一の園で原則3年まで。腰を据えて同じ子どもを見続けることが難しくなります
  • ④ 家賃補助(借り上げ社宅)の対象外が多い。制度は園の職員向けであることがほとんどです
  • ⑤ 職員の輪に入りにくいことがある。園によっては「外部の人」という距離感が残ります

①〜②は、「何年その働き方を続けるか」を決めておくことで対処できます。数年だけ派遣で働き、体力や家庭の状況が整ったら正社員に戻る、という使い方をしている人は多くいます。

派遣保育士は担任を持つ?できない業務はある?

結論から言うと、派遣保育士は原則として担任を持ちません。担任は指導計画の作成や保護者対応など継続的な責任を伴い、契約期間が区切られている派遣にはなじまないためです。

実際の業務は、次のような範囲になるのが一般的です。

担当することが多い担当しないことが多い
クラスの副担任・フリークラス担任(指導計画の責任者)
保育補助、遊びの見守り保護者面談・個別の懇談
連絡帳の記入(園による)行事の企画・運営責任
食事・午睡・排泄の援助指導計画・要録の作成
掃除・環境整備保護者からの苦情対応

ただし現場では、「実質的に担任と同じ動きを求められている」という声も出ます。これは契約と実態のずれなので、我慢せず派遣会社の担当者に伝えてください。契約内容を是正するのは派遣会社の役割です。

派遣保育士の3年ルールと無期雇用派遣

労働者派遣には、同じ事業所の同じ課などで働けるのは原則3年までという決まりがあります(いわゆる3年ルール)。3年を迎えると、次のいずれかに進むことになります。

  • 別の園に移る(もっとも一般的)
  • その園に直接雇用してもらう(正社員・パートへの切り替え)
  • 派遣会社に無期雇用される(無期雇用派遣。3年の期間制限がなくなります)

無期雇用派遣は、派遣会社と期間の定めなく雇用契約を結ぶ形です。月給制になり、待機期間中も給与が出るなど安定性が高まる一方、勤務地を自分で選びにくくなる面があります。安定を重視するならこの形も検討する価値があります。

出典:厚生労働省「労働者派遣事業」。制度の詳細や例外は改正されることがあるため、最新の内容をご確認ください。

派遣保育士として働き始めるまでの流れ

ステップ内容期間の目安
① 派遣会社に登録Web登録のあと面談。希望条件を伝える1週間
② 求人の紹介条件に合う園を提案してもらう1〜2週間
③ 園の見学「職場見学」として実施。面接ではない1日
④ 契約就業条件明示書で業務範囲・時給を確認数日
⑤ 就業開始初日は派遣会社の担当者が同行することも

派遣では「面接」ではなく「職場見学」という形をとります。派遣先が事前に人を選ぶ行為は法律で制限されているためです。とはいえ実質的には相互確認の場なので、聞きたいことはこの場で聞いておくのが賢明です。何を見るべきかは保育士の面接でよく聞かれる質問と答え方の園見学チェックポイントが使えます。

派遣保育士に向いている人・向いていない人

向いている人向いていない人
担任の責任から離れたい同じ子どもを長く見守りたい
持ち帰り仕事をなくしたい賞与・退職金を重視する
時給を上げたい役職を目指したい
いろいろな園を経験したいひとつの園に腰を据えたい
育児・介護と両立したい家賃補助を使いたい
数年だけ働き方を軽くしたい住宅ローンなどの審査を控えている
監修者 江波戸 純希監修者コメント江波戸 純希(WEBBOX合同会社 代表社員/スキマほいく 編集責任者)

時給が高い理由を不安に感じる方がいますが、賞与と退職金がないぶんが時給に乗っているだけです。年間の総支給で比べれば、正社員のほうが多くなるのが普通です。

だから「何年その働き方を続けるか」を決めてから選ぶことをおすすめしています。数年だけ負担を軽くする使い方なら、不利にはなりません。

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派遣会社の選び方と、契約前に確認すること

派遣会社は必ず労働者派遣事業の許可を受けています。許可番号(「派13-○○○○○○」の形)が公式サイトに記載されているかは、最初に見ておくと安心です。

契約前に必ず確認する6項目

  • 業務範囲:担任を持つのか、副担任・フリーなのか。就業条件明示書に書かれているか
  • 時給と交通費:交通費が時給に含まれるのか、別途支給か
  • 社会保険と有給:加入条件と、有給が何か月後に何日付くか
  • 契約期間と更新:3か月更新が一般的。更新されなかった場合の次の紹介はどうなるか
  • 残業の扱い:発生するのか、した場合の割増はどうなるか
  • 担当者の連絡手段:困ったときにすぐ相談できるか

とくに1つめが重要です。「担任は持たない」と口頭で言われても、書面になければ後で覆ります。就業条件明示書を必ず受け取り、内容を読んでから署名してください。

なお、エージェント型のサービスに登録すると連絡が多くなりがちです。連絡の負担を減らしたい方は電話なしで使える保育士転職サイト、サービス全体の比較は保育士転職サイトのおすすめ比較をご覧ください。

サポートを受けて転職したい人向けの転職エージェント

自分で求人を探して直接応募するのが合う方もいれば、担当者に相談しながら、年収などの条件交渉まで任せたいという方もいます。「サポートを受けて、しっかり転職したい」という場合は、次のような転職エージェントも選択肢になります。

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  • 手厚いサポートを受けたい
  • 首都圏で正社員を目指したい
  • 初めての転職で不安がある

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派遣保育士に関するよくある質問

派遣保育士の時給はいくらですか?

目安は約1,400〜1,700円です。首都圏では1,500〜1,800円、地方都市では1,200〜1,400円が一般的です。パート保育士(約1,100〜1,300円)より高くなりますが、賞与と退職金がないぶんが時給に上乗せされているためです。

派遣保育士の月収・年収はどれくらいですか?

時給1,500円で1日8時間・週5日で働いた場合、月収は約26万円、年収は約312万円が目安です。ただし賞与がないため、年収では正社員(約400〜430万円)に届かないのが一般的です。

派遣保育士は担任を持ちますか?

原則として持ちません。指導計画の作成や保護者対応など継続的な責任を伴うため、契約期間が区切られている派遣にはなじまないからです。実質的に担任と同じ業務を求められた場合は、園ではなく派遣会社の担当者に相談してください。

派遣保育士はやめたほうがいいと言われるのはなぜですか?

賞与・退職金がなく、昇給もほぼないため、長期で見ると正社員と収入差が開くからです。ただし時給と責任のバランスは良く、数年だけ負担を軽くしたい人には合う働き方です。何年続けるかを決めて選べば、不利にはなりません。

派遣保育士でも社会保険や有給はありますか?

条件を満たせばどちらもあります。社会保険は勤務時間などの条件で加入が決まり、有給は勤務開始から6か月継続勤務して所定日数の8割以上出勤すれば付与されます。加入条件は登録時に必ず確認してください。

3年ルールとは何ですか?

同じ事業所の同じ組織で派遣として働けるのは原則3年までという決まりです。3年を迎えたら、別の園に移る、その園に直接雇用してもらう、派遣会社に無期雇用されるのいずれかを選ぶことになります。

派遣から正社員になれますか?

なれます。園が直接雇用に切り替えるケースは実際にあり、紹介予定派遣という最初から直接雇用を前提にした形もあります。まず現場を見てから決めたい人には合う進み方です。

派遣保育士に家賃補助(借り上げ社宅)はありますか?

対象外であることがほとんどです。借り上げ社宅制度は園が自園の職員に対して用意する制度のためです。家賃補助を重視するなら、正社員として直接雇用される道を検討してください。

監修者 江波戸 純希監修者コメント江波戸 純希(WEBBOX合同会社 代表社員/スキマほいく 編集責任者)

契約前に必ず見てほしいのが就業条件明示書の業務範囲です。「担任は持ちません」と口頭で言われても、書面になければ後で覆ります。

実際に「話が違う」となったときの相談先は、園ではなく派遣会社の担当者です。ここを知っているだけで、抱え込まずに済みます。

まとめ:派遣保育士は「時給と責任のバランス」で選ぶ働き方

  • 派遣保育士の雇用主は派遣会社。園からは指示だけを受ける
  • 時給は約1,400〜1,700円。賞与・退職金がないぶんが上乗せされている
  • 原則として担任を持たず、持ち帰り仕事もほぼない
  • 同一園は原則3年まで。無期雇用派遣という選択肢もある
  • 契約前に業務範囲を書面で確認することがいちばん大事

派遣保育士は「正社員になれなかった人の働き方」ではありません。責任の重さを自分で選べる働き方です。ほかの雇用形態と並べて比べたい方は保育士の働き方と職場の選び方を、公立の安定を検討している方は公務員保育士になるには?もあわせてご覧ください。