この記事の結論
保育士の配置基準は、0歳児3対1、1歳児6対1(加算で5対1)、2歳児6対1、3歳児15対1、4・5歳児25対1が国の最低基準です。3歳児は2024年度に20対1から、4・5歳児は30対1から改善され、1歳児は2025年度から5対1の加算が始まりました。ただし、基準は「休憩・書類・行事・シフト」を計算に入れていないため、基準を満たしていても現場が回らない園は珍しくありません。働く側にとって重要なのは、基準を満たしているかではなく、基準よりどれだけ余裕があるか(フリー保育士の人数)です。この記事では、年齢別・施設別の基準、計算方法(自動計算ツールつき)、近年の見直し、そして「基準ぎりぎりの園」を応募前に見分ける方法まで、働く保育士の視点で整理します。
- 年齢別・施設別の配置基準と、2024〜2026年の見直しの内容が分かる
- 自分の園が基準を満たしているか、計算ツールで確認できる
- 基準を満たしていても「きつい」園の理由と、余裕のある園の見分け方が分かる
「うちの園、配置基準ぎりぎりじゃない?」「1人で25人を見るのはおかしい」。配置基準は、保育士の働きやすさを語るときに必ず出てくる言葉です。
配置基準は国が定める「最低限これだけの保育士を置きなさい」という下限であって、「これだけいれば十分」という水準ではありません。この記事では、基準の数字を正確に押さえたうえで、基準と現場の実感がなぜずれるのか、そして園を選ぶときに何を見ればよいのかを解説します。

江波戸 純希えばと よしき
WEBBOX合同会社 代表社員/スキマほいく 編集責任者
職業紹介責任者講習を修了し、有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍して、看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で転職支援を担当。この職業紹介に関する経歴は、本サービス以外での実務経験です。現在はWEBBOX合同会社の代表社員として保育士向けの求人情報サービス「スキマほいく」を運営し、厚生労働省・こども家庭庁の一次情報にあたりながら記事内容を確認しています。
この記事の目次開く閉じる
- 保育士の配置基準とは?根拠となる法律と決まり方
- 【年齢別】保育士の配置基準一覧【2026年最新】
- 2024年度・2025年度の見直し|3歳児15対1、4・5歳児25対1、1歳児5対1加算
- 保育士の配置基準の計算方法【自動計算ツールつき】
- 【施設別】認可・こども園・小規模・認可外・企業主導型の配置基準
- 【定員別】必要な保育士数の目安と、クラス編成の実例
- 配置基準と「加配」の違い|障害児保育加算・医療的ケア児
- 看護師・栄養士・調理員・事務員は配置基準にどう関わるか
- 自治体による上乗せ基準の例
- 配置基準に算入できる人・できない人【みなし保育士・補助者】
- 配置基準を満たしていないとどうなる?
- 1日の中で配置が薄くなる時間帯|基準と「休憩」の関係を数字で見る
- 「配置基準がおかしい」と言われる3つの理由
- 海外と比べると日本の配置基準はどうか
- 基準を満たしていても「きつい」園と、余裕のある園の違い
- 応募前に「基準ぎりぎりの園」を見分ける7つの方法
- いまの園の配置に不満があるときの対処法
- サポートを受けて転職したい人向けの転職エージェント
- 保育士の配置基準に関するよくある質問
- まとめ:見るべきは「基準を満たしているか」ではなく「余裕があるか」
保育士の配置基準とは?根拠となる法律と決まり方
「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」が根拠
保育士の配置基準は、児童福祉法に基づく省令「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第33条で定められています。子どもの年齢ごとに「保育士1人あたり何人まで」という上限を示したもので、認可保育所はこれを下回ることができません。
国が定め、自治体が条例にする
国の基準は「従うべき基準」とされ、各都道府県・市区町村はこれを条例に落とし込みます。自治体が独自に手厚い基準を上乗せすることはできますが、緩めることはできません。そのため、同じ「認可保育園」でも、自治体によって実際の基準が違うことがあります。
配置基準は「最低基準」
基準は「保育の質を保証する水準」ではなく、「これを下回ったら認可施設として認めない」という下限です。1948年に定められた基準を土台にしており、長く見直されなかったことが「おかしい」と言われる理由のひとつです(後述)。
【年齢別】保育士の配置基準一覧【2026年最新】
| 子どもの年齢 | 国の最低基準 | 備考 |
|---|---|---|
| 0歳児 | 3対1(保育士1人につき3人) | 変更なし |
| 1歳児 | 6対1(加算を受ける園は5対1) | 2025年度から「1歳児配置改善加算」で5対1が可能に |
| 2歳児 | 6対1 | 変更なし |
| 3歳児 | 15対1 | 2024年度に20対1から改善(経過措置あり) |
| 4・5歳児 | 25対1 | 2024年度に30対1から改善(経過措置あり) |
最低2人の配置が必要
年齢別の基準で計算した人数にかかわらず、保育所には常に2人以上の保育士を置くことが定められています。子どもが少人数でも、1人だけで保育することはできません。
「対1」の読み方
「6対1」は「子ども6人に対して保育士1人」です。1歳児が12人いれば保育士2人、13人いれば3人(切り上げ)が必要になります。ただし、実際の計算は年齢ごとの端数を合算する方式が使われるため、次の計算方法の項で詳しく説明します。
2024年度・2025年度の見直し|3歳児15対1、4・5歳児25対1、1歳児5対1加算
2024年度:3歳児と4・5歳児の基準が改善
2024年4月、3歳児が20対1から15対1へ、4・5歳児が30対1から25対1へ改善されました。4・5歳児の30対1は1948年から76年間変わっておらず、初めての改善です。3歳児の15対1は、2015年から「加算」として手厚い配置をした園に補助が出ていたものが、基準そのものに引き上げられた形です。
ただし、保育士を確保できない園への経過措置があり、当面は従来の基準でも運営を続けられます。つまり、2024年度以降も「4・5歳児30対1で回している園」は制度上存在します。
2025年度:1歳児配置改善加算(5対1)
1歳児については、基準を6対1から5対1に変更するのではなく、5対1で配置した園に補助を上乗せする「加算」として2025年度から始まりました。加算を受けるには、職員の平均経験年数や処遇改善の取り組みなど一定の条件があり、すべての園が自動的に5対1になるわけではありません。将来的に基準そのものの改正が検討されています。
なぜ「加算」方式なのか
基準を一気に引き上げると、保育士を確保できない園が認可を維持できなくなります。そのため、まず加算で手厚い配置を促し、保育士の確保状況を見ながら基準化する、という段階的な進め方が取られています。
2026年度以降の見通し
こども家庭庁は「こども未来戦略」の中で、配置基準の改善を継続的な課題として位置づけています。1歳児5対1の基準化、さらに0歳児・2歳児の改善が今後の論点です。制度は年度ごとに変わるため、最新の情報はこども家庭庁や自治体の通知で確認してください。
保育士の配置基準の計算方法【自動計算ツールつき】
計算の手順
- 年齢ごとの在園児数を書き出す
- 各年齢の人数を、その年齢の基準値で割る(小数のまま)
- すべての年齢の商を合算する
- 合計の小数点以下を切り上げる(これが必要な保育士数)
- 2人未満なら2人とする
計算例
| 年齢 | 在園児数 | 基準 | 計算 |
|---|---|---|---|
| 0歳児 | 6人 | 3対1 | 6÷3=2.00 |
| 1歳児 | 10人 | 6対1 | 10÷6=1.67 |
| 2歳児 | 12人 | 6対1 | 12÷6=2.00 |
| 3歳児 | 18人 | 15対1 | 18÷15=1.20 |
| 4歳児 | 20人 | 25対1 | 20÷25=0.80 |
| 5歳児 | 22人 | 25対1 | 22÷25=0.88 |
| 合計 | 88人 | 8.55 → 切り上げて9人 |
年齢ごとに切り上げると(2+2+2+2+1+1=10人)になりますが、国の基準は合算してから切り上げる方式なので9人です。この差1人が、現場では「クラスに担任がいても、休憩に入ると1人になる」という状況を生みます。
自動計算ツール|自分の園は基準を満たしている?
年齢ごとの在園児数と、実際に配置されている保育士の人数を入れてください。国の最低基準で必要な人数と、1歳児5対1の加算を受けた場合の人数を計算します。
配置基準 自動計算ツール
年齢ごとの人数を入れるだけ。入力内容はどこにも送信されません。
計算結果
※国の最低基準(0歳3対1/1歳6対1/2歳6対1/3歳15対1/4・5歳25対1)で計算しています。自治体の上乗せ基準がある場合はそちらが優先されます。
「常勤換算」に注意
配置基準の人数は、パートや短時間勤務の職員を常勤の勤務時間で割って換算します。たとえば常勤が1日8時間で、4時間勤務のパートが2人いれば、合わせて1人分と数えます。「職員が10人いる」と言っても、常勤換算では7人ということはよくあります。
開所時間すべてで基準を満たす必要がある
基準は「1日のどの時間帯でも」満たす必要があります。早朝と夕方は子どもが少ないので必要人数も減りますが、子どもが最も多い時間帯(おおむね9時〜16時)で基準を満たすシフトを組む必要があります。この時間帯に休憩を回そうとすると、基準ぎりぎりの園では休憩が取れなくなります。
【施設別】認可・こども園・小規模・認可外・企業主導型の配置基準
| 施設の種類 | 配置基準 | 資格要件 |
|---|---|---|
| 認可保育所 | 国の年齢別基準(上の表のとおり) | 全員保育士 |
| 幼保連携型認定こども園 | 認可保育所と同じ年齢別基準。1号認定(教育時間)の子は学級担任制 | 保育教諭(保育士+幼稚園教諭。経過措置あり) |
| 小規模保育 A型 | 年齢別基準+1人 | 全員保育士 |
| 小規模保育 B型 | 年齢別基準+1人 | 半数以上が保育士 |
| 小規模保育 C型 | 3対1(補助者を置く場合は5対2) | 家庭的保育者(研修修了者) |
| 家庭的保育 | 3対1(補助者を置く場合は5対2) | 家庭的保育者 |
| 事業所内保育(定員20人以上) | 認可保育所と同じ | 全員保育士 |
| 事業所内保育(定員19人以下) | 小規模A型・B型に準ずる | A型・B型に準ずる |
| 企業主導型保育 | 認可保育所と同じ年齢別基準+1人 | 半数以上が保育士 |
| 認可外保育施設 | 認可と同じ年齢別基準(開所時間により変動) | 基準人数の3分の1以上が保育士または看護師 |
小規模保育は「基準+1人」で手厚い
0〜2歳児19人以下を預かる小規模保育は、A型・B型ともに年齢別の必要人数に1人を加える基準です。制度上もっとも手厚い配置で、乳児にじっくり関わりたい人に向いています。ただし職員数そのものが少ないため、人間関係の逃げ場がない点は理解しておく必要があります。
認可外は「3分の1が保育士」でよい
認可外保育施設の指導監督基準では、必要な職員数の3分の1以上が保育士または看護師であればよいとされています。残りは無資格の保育従事者でも構いません。「保育士が少ない現場で、有資格者に責任が集中する」状況が起こりやすい理由です。
企業主導型は認可並みの基準に上乗せ
企業主導型保育は認可外の一種ですが、年齢別基準に1人を加え、半数以上を保育士とする独自の基準があります。定員が小さく行事も少ないため、働きやすさの面で選ばれることがあります。施設ごとの働き方の違いは保育士の働き方と職場の選び方で整理しています。
【定員別】必要な保育士数の目安と、クラス編成の実例
配置基準は年齢ごとの人数で決まるため、園の定員だけでは必要人数は分かりません。ただ、一般的な年齢構成で試算すると、規模ごとの目安が見えてきます。
| 定員 | 年齢構成の例(0/1/2/3/4/5歳) | 最低基準の必要人数 | 余裕のある園の実人数の目安 |
|---|---|---|---|
| 60名 | 6/9/9/12/12/12 | 2.0+1.5+1.5+0.8+0.48+0.48=6.76 → 7人 | 9〜10人(フリー2〜3人) |
| 90名 | 9/12/15/18/18/18 | 3.0+2.0+2.5+1.2+0.72+0.72=10.14 → 11人 | 13〜15人(フリー2〜4人) |
| 120名 | 12/18/18/24/24/24 | 4.0+3.0+3.0+1.6+0.96+0.96=13.52 → 14人 | 17〜19人(フリー3〜5人) |
「必要人数」と「実人数」の差が余裕
定員90名の園で、常勤換算の保育士が11人なら基準ちょうど、14人なら3人分の余裕があります。求人票の「職員数」は看護師・栄養士・調理員・事務を含むことが多いので、「保育士だけで何人か」「常勤換算で何人か」を確認してください。
クラス編成は基準どおりにならない
基準は園全体の合算で計算しますが、実際のクラスは年齢ごとに分かれています。4歳児が20人なら基準上は0.8人分ですが、実際には担任が1人必要です。合算方式は、園全体では基準を満たしていても、クラス単位で見ると担任が休憩に入れない状況を生みます。これが「計算上は足りているのに回らない」正体です。
配置基準と「加配」の違い|障害児保育加算・医療的ケア児
加配は「基準に上乗せする職員」
配慮が必要な子どもがいる場合、自治体の補助を受けて基準の人数に加えて職員を配置する仕組みが「加配」です。障害児保育の加配、医療的ケア児への看護師配置、外国籍の子への通訳的支援など、自治体ごとに制度があります。
加配があるかどうかで現場の負担は大きく変わる
配慮が必要な子が2人いるクラスで加配がなければ、担任はその2人に手を取られ、残りの子を見る時間が減ります。加配が1人つけば、クラス全体が落ち着きます。加配の申請を園が積極的に行っているかは、園の姿勢を表す指標です。
応募時に聞くこと
「配慮が必要なお子さんに加配はついていますか」「加配の申請は園としてどう判断していますか」。加配の職員は基準の人数には含まれないため、フリーの人数と加配の人数を分けて聞くと実態が分かります。療育の現場に関心がある場合は児童発達支援・放課後等デイで働く保育士もご覧ください。
看護師・栄養士・調理員・事務員は配置基準にどう関わるか
看護師・保健師
0歳児を預かる保育所では、看護師または保健師の配置が努力義務とされ、多くの認可園が配置しています。前述のとおり、0歳児がいる施設では看護師1人に限り保育士とみなして基準に算入できますが、看護師を保育士の数に含めて基準を満たしている園は、実質の保育士が1人少ないということでもあります。
栄養士・調理員
自園調理の保育所には調理員の配置が必要ですが、保育士の配置基準とは別枠です。求人票の「職員数」にはこれらが含まれていることが多いため、保育士だけの人数を切り分けて確認してください。
事務員・用務員
配置義務はありませんが、いる園といない園で保育士の負担が大きく変わります。事務員がいなければ、保護者への請求や行政への書類は園長と主任、場合によっては保育士が担います。用務員がいなければ、掃除・消毒・修繕は保育士の仕事です。配置基準に出てこないこれらの職員の有無は、保育士が保育に集中できるかを左右します。
「職員数」の求人票表記を読み解く
求人票の「職員数20名」は、園長・主任・保育士・看護師・栄養士・調理員・事務員・パートを合算した数であることがほとんどです。ここから保育士だけを抜き出し、さらに常勤換算すると、実際の配置は「20名」の半分程度ということも珍しくありません。面接では「保育士は常勤換算で何人ですか」と聞くのが正確です。
園長・主任は基準に入るか
園長は施設長として基準とは別に配置されるのが原則で、保育に常時入っている場合を除き基準の人数に含めません。主任保育士は保育士として算入されることが多いものの、クラスを持たず全体を見る立場なら、実質的にはフリーに近い役割です。「主任がフリーを兼ねている」園は、主任の本来業務(職員の指導・園長の補佐)に手が回らなくなりがちで、余裕のなさのサインとも言えます。
自治体による上乗せ基準の例
国の基準は下限なので、多くの自治体が独自に手厚い基準を設けています。代表的な上乗せの形は次のとおりです。
- 1歳児を5対1とする(東京都など。国の加算より前から実施していた自治体が多い)
- 3歳児を15対1とする(国の改善前から実施していた自治体)
- 4・5歳児を20対1とする(国の25対1よりさらに手厚い)
- 0歳児を2.5対1や2対1に近づける補助を出す
自治体の上乗せは、条例で義務づける場合と、補助金で誘導する場合があります。同じ「認可保育園」でも、自治体をまたいで転職すると配置の実感が変わるのはこのためです。転職先の自治体の基準は、自治体のサイトで「保育所 配置基準 条例」と検索すると確認できます。
配置基準に算入できる人・できない人【みなし保育士・補助者】
保育士資格を持つ人が原則
認可保育所の配置基準に算入されるのは、保育士登録をしている人です。園長が保育士資格を持ち保育に入っている場合は算入できますが、事務や園の運営に専念している場合は算入できないのが一般的です。
「みなし保育士」の特例
保育士不足への対応として、一定の条件で保育士以外を配置基準に算入できる特例があります。
- 幼稚園教諭・小学校教諭・養護教諭を、必要な保育士数の3分の1まで算入できる
- 朝夕の子どもが少ない時間帯は、保育士1人+子育て支援員研修修了者などの補助者1人で2人配置とみなせる
- 保健師・看護師・准看護師は、0歳児がいる施設で1人に限り保育士とみなせる
これらは緊急的な特例であり、基準の人数すべてを保育士以外で埋めることはできません。
保育補助・子育て支援員は原則算入されない
無資格の保育補助や子育て支援員は、上記の朝夕の特例を除いて配置基準には数えられません。ただし、基準に数えられないからといって役に立たないわけではなく、基準の人数に加えて補助者がいる園は、実質的な余裕が大きいと言えます。保育補助の働き方は保育補助の仕事で解説しています。
配置基準を満たしていないとどうなる?
段階①:指導監査で指摘される
自治体は認可保育所に対して定期的に指導監査を行い、配置基準を含む運営状況を確認します。基準を下回っていれば文書で指摘され、改善計画の提出を求められます。
段階②:改善勧告・改善命令
指摘後も改善されない場合、改善勧告、さらに改善命令が出されます。勧告に従わない場合は施設名が公表されることがあります。
段階③:事業停止命令・認可取り消し
それでも改善されず、子どもの安全に重大な影響がある場合は、事業停止命令や認可の取り消しに至ります。実際に取り消しに至る例は多くありませんが、基準割れが常態化している園は、運営そのものが不安定だと考えたほうが安全です。
働く側が気づいたら
自分の園が基準を下回っていると感じたら、まず計算ツールで確認し、年齢別の在園児数と職員の常勤換算人数を記録しておいてください。園に改善を求めても変わらない場合は、自治体の保育担当課に相談できます。基準割れの園で事故が起きたとき、責任を問われるのは現場の保育士でもあります。自分を守るためにも記録は重要です。
1日の中で配置が薄くなる時間帯|基準と「休憩」の関係を数字で見る
基準は「子どもがいる時間はずっと満たす」必要があります。ところが、保育士の休憩・書類・会議は、子どもがいる時間の中で取るしかありません。定員90名・必要人数11人・実人数11人(余裕ゼロ)の園を例に、1日を追ってみます。
| 時間帯 | 在園児の状況 | 必要人数 | 実際に子どもを見ている人数 | 何が起きるか |
|---|---|---|---|---|
| 7:00〜8:30 | 順次登園、少人数 | 2〜5人 | 早番3〜4人 | 問題なし |
| 9:00〜11:30 | 全員登園 | 11人 | 11人 | 基準ちょうど。誰も抜けられない |
| 12:30〜14:30 | 午睡(呼吸チェック必須) | 11人 | 交代で休憩に入ると8〜9人 | 休憩中は基準を割る。書類は残った人が担当 |
| 15:00〜16:30 | おやつ・遊び・降園開始 | 11→8人 | 早番が退勤し9〜10人 | 降園時の保護者対応で手が取られる |
| 17:00〜19:00 | 延長保育、少人数 | 2〜4人 | 遅番2〜3人 | 問題なし。ただし書類は勤務後に |
余裕ゼロの園では、休憩か基準のどちらかを諦めることになる
この表のとおり、実人数が基準ちょうどの園では、休憩を取れば基準を割り、基準を守れば休憩を取れません。実際には「子どもと一緒に食べる」「午睡中に交代で15分だけ」という形で、休憩が実質ゼロになる園が多くなります。労働基準法上、6時間を超える勤務には45分、8時間を超える勤務には60分の休憩が必要ですが、配置に余裕がなければ守れない構造です。
フリーが2人いるだけで、この問題はほぼ解決する
実人数が13人(フリー2人)なら、午睡中に2人ずつ交代で休憩に入っても11人が残り、基準を割りません。書類もフリーが入っている間に担任が書けます。「フリー保育士が何人いるか」が働きやすさの最大の指標と繰り返すのは、この計算が理由です。
有給が取れるかどうかも同じ構造
誰かが有給を取れば、その日の実人数は1人減ります。余裕ゼロの園では基準を割るため、園長・主任が代わりに入るか、有給の申請そのものが通りにくくなります。「有給が取れない」という不満の多くは、配置の余裕の問題です。休みの取りやすさは保育士の働き方と職場の選び方でも施設ごとに比較しています。
「配置基準がおかしい」と言われる3つの理由
理由①:1948年の基準が長く据え置かれてきた
4・5歳児の30対1は1948年に定められ、2024年に25対1になるまで76年間変わりませんでした。当時と比べて保育時間は長くなり、アレルギー対応、配慮が必要な子への個別対応、書類の量、保護者支援の役割は大きく増えています。仕事の中身が何倍にもなったのに、人数の基準はほぼそのままだったことが、現場の実感とのずれを生んでいます。
理由②:休憩・書類・行事・シフトが計算に含まれていない
配置基準は「子どもを見ている時間」の人数です。保育士が休憩に入る時間、書類を書く時間、行事の準備をする時間、早番・遅番の交代で生まれる隙間は、基準の計算にまったく入っていません。基準ちょうどの人数では、誰かが休憩に入った瞬間に基準を割ります。だから「基準を満たしているのに回らない」のです。
理由③:一人ひとりの子どもの状況が反映されない
配慮が必要な子、アレルギーの子、慣らし保育中の子、体調の悪い子。実際の保育では、人数以上に「その日の子どもの状態」で必要な手が変わります。基準は年齢と人数だけで決まるため、クラスの実態が重くても人数は増えません。
海外と比べると日本の配置基準はどうか
OECD諸国の比較では、3歳以上の子どもについて保育者1人あたり8〜15人程度を基準とする国が多く、日本の25対1(改善前は30対1)は主要国の中でもっとも緩い水準のひとつとされてきました。乳児についても、日本の0歳児3対1は国際的に見て極端に緩いわけではありませんが、1・2歳児の6対1は手厚いとは言えない水準です。
ただし、国によって保育者の資格制度、補助者の扱い、保育時間が違うため、数字の単純比較には限界があります。それでも、日本の幼児の配置基準が国際的に見て薄いという認識は、2024年度の改善の背景にもなっています。
基準を満たしていても「きつい」園と、余裕のある園の違い
ここからが、この記事でいちばん伝えたい部分です。配置基準を満たしているかどうかは、働きやすさをほとんど説明しません。同じ基準を満たしている園でも、実感はまったく違います。
基準ぎりぎりの園で起きること
- 誰かが休むと、その日は基準を割るか、園長・主任がクラスに入る
- 休憩に入ると1人になるため、休憩が実質取れない
- 書類を書く時間が勤務内に確保できず、持ち帰りになる
- 有給の申請が「配置が組めない」という理由で通りにくい
- 行事の準備を勤務時間内にできない
- 配慮が必要な子に個別につける人がいない
余裕のある園で起きること
- フリー保育士が複数いるため、欠勤や休憩に対応できる
- ノンコンタクトタイム(子どもと離れて書類を書く時間)が制度としてある
- 有給が希望日に取れる
- 配慮が必要な子に加配の職員がつく
- 保育補助や子育て支援員が基準に加えて配置されている
「余裕」の正体はフリー保育士の人数
配置基準で必要な人数に対して、クラスを持たないフリーの保育士が何人いるかが、そのまま余裕の量です。定員100人規模の園で、必要人数が9人、実際の常勤換算が12人なら3人分の余裕があります。この3人が、休憩・書類・欠勤・行事・個別対応を吸収します。逆に必要人数と実人数が同じなら、余裕はゼロです。
応募前に「基準ぎりぎりの園」を見分ける7つの方法
- 「フリーの保育士は何人いますか」と聞く。0人、または園長・主任がフリーを兼ねている園は余裕がない
- 「職員が急に休んだとき、誰がクラスに入りますか」と聞く。答えに詰まる園は要注意
- 「休憩は何分、どこで取っていますか」と聞く。「子どもと一緒に」「取れるときに」という答えは実質ゼロ
- 「書類はいつ書いていますか」と聞く。ノンコンタクトタイムの有無と週の時間数
- 「配置改善の加算(1歳児5対1など)を受けていますか」と聞く。受けている園は手厚い配置に投資している
- 求人票の「職員数」と「定員」から常勤換算を推定する。定員に対して職員が少ない園は要注意
- 見学で休憩室を見る。物置になっている休憩室は、休憩が取れていない園のサイン
これらは求人票には書かれていません。面接で聞く際の言い回しは保育士の面接でよく聞かれる質問と答え方にまとめています。転職支援サービスを使う場合、担当者経由で配置の実態を事前に確認できることがあります。サービスの選び方は保育士転職サイトのおすすめ比較をご覧ください。実際に1日入って確かめる方法もあり、配置の余裕は数時間で体感できます。仕組みは保育士の単発バイトで解説しています。
いまの園の配置に不満があるときの対処法
まず数字で確認する
「きつい」という感覚を、計算ツールで数字にしてください。基準を割っているのか、基準ちょうどなのか、基準は満たしているが余裕がないのか。どの状態かで、取れる手段が変わります。
基準を割っているなら
園に改善を求め、変わらなければ自治体の保育担当課に相談できます。記録(在園児数・職員数・日付)を残しておいてください。
基準は満たしているが余裕がないなら
これは法律違反ではないため、行政に訴えても解決しません。園に「フリーを1人増やしてほしい」「補助者を入れてほしい」と提案することはできますが、園の経営判断なので変わらないことも多いのが実情です。変わらないなら、余裕のある園に移ることが現実的な選択肢になります。
辞めるかどうかを決める前に
配置の余裕は園によって大きく違います。「保育士とはこういうもの」と思い込む前に、他の園の状態を知ってください。判断の整理は保育士を辞めたいと思ったら、配置の余裕がやりがいに与える影響は保育士のやりがいと大変なことで解説しています。
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保育士の配置基準に関するよくある質問
保育士の配置基準は?
国の最低基準は、0歳児3対1、1歳児6対1(加算で5対1)、2歳児6対1、3歳児15対1、4・5歳児25対1です。年齢ごとの人数を基準で割り、合算して切り上げた人数が必要な保育士数で、最低2人の配置が必要です。
2026年の保育園の配置基準は?
2024年度に3歳児15対1・4・5歳児25対1へ改善され、2025年度から1歳児5対1の配置改善加算が始まりました。2026年度もこの基準が続いており、1歳児5対1の基準化や0・2歳児の改善が今後の論点です。保育士確保が難しい園には経過措置があります。
保育士1人に対して子どもは何人ですか?
年齢によって違います。0歳児は3人、1歳児と2歳児は6人(1歳児は加算で5人)、3歳児は15人、4歳児と5歳児は25人までです。これは最低基準で、自治体や園によってはさらに手厚い配置をしています。
保育士の配置基準の計算方法は?
年齢ごとの在園児数をそれぞれの基準で割り(小数のまま)、すべて合算してから小数点以下を切り上げます。年齢ごとに切り上げるのではなく合算方式のため、必要人数は少なめに出ます。パート職員は常勤の勤務時間で割って常勤換算します。
保育士の配置基準がおかしいと言われるのはなぜですか?
1948年の基準が長く据え置かれてきたこと、休憩・書類・行事・シフト交代の時間が計算に含まれていないこと、配慮が必要な子など個々の状況が反映されないことの3つが主な理由です。基準を満たしていても現場が回らないのはこのためです。
配置基準を満たしていない園はどうなりますか?
自治体の指導監査で指摘され、改善計画の提出を求められます。改善されなければ改善勧告・改善命令、施設名の公表、最終的には事業停止命令や認可取り消しに至ることがあります。働く側は在園児数と職員数を記録し、自治体に相談できます。
幼稚園教諭や看護師は配置基準に数えられますか?
特例として、幼稚園教諭・小学校教諭・養護教諭は必要な保育士数の3分の1まで、看護師等は0歳児がいる施設で1人に限り保育士とみなせます。朝夕の少人数の時間帯は保育士1人と補助者1人で2人配置とみなす特例もあります。
配置基準を満たしていれば働きやすい園ですか?
そうとは限りません。基準は下限で、休憩や書類の時間を含んでいません。働きやすさを決めるのは、基準に対してフリー保育士が何人いるかという「余裕」です。応募前にフリーの人数、休憩の実態、書類を書く時間を確認してください。
まとめ:見るべきは「基準を満たしているか」ではなく「余裕があるか」
- 国の最低基準は0歳3対1、1歳6対1(加算5対1)、2歳6対1、3歳15対1、4・5歳25対1。最低2人配置
- 2024年度に3歳・4・5歳児が改善、2025年度に1歳児5対1の加算開始。経過措置で旧基準の園も残っている
- 計算は年齢ごとの商を合算して切り上げ。パートは常勤換算
- 基準は休憩・書類・行事を含まない下限。満たしていても回らない園は普通にある
- 働きやすさはフリー保育士の人数=基準に対する余裕で決まる。応募前に必ず確認する
配置基準は数字で確認できる、数少ない客観的な指標です。ただし、その数字は下限にすぎません。園を選ぶときは、基準を満たしているかではなく、基準よりどれだけ余裕があるかを見てください。保育士の仕事の全体像は保育士の仕事内容とは?、施設ごとの働き方の違いは保育士の働き方と職場の選び方で整理しています。