この記事の結論

保育士の仕事内容は、①子どもの生活と遊びを支える「保育」、②発達を記録し計画に落とす「書類」、③保護者・行事・環境整備などの「園を回す仕事」の3層でできています。求人票や学校の説明に出てくるのはほぼ①だけですが、負担の差が出るのは②と③です。同じ「保育士」でも、書類を勤務時間内に書ける園と持ち帰る園、行事が年3回の園と毎月ある園では、働き方がまったく違います。この記事では仕事内容を時間帯別・年齢別・施設別に分解し、「園によって変わる部分」がどこなのかまで整理します。

  • 保育士の1日の流れ(早番・中番・遅番)と、それぞれの時間帯で何をしているかが分かる
  • 0歳児から5歳児まで、年齢別に仕事内容がどう変わるかが分かる
  • 書類・行事・保護者対応など「見えない仕事」の実態と、園による差が分かる

「保育士ってどんな仕事?」と聞かれたとき、「子どもと遊ぶ仕事」と答える人は多いと思います。間違いではありませんが、実際に働いている保育士に聞くと「遊んでいる時間は思ったより短い」という答えが返ってきます。

この記事は、これから保育士を目指す方だけでなく、いま現場で働いていて「自分の園の仕事量は普通なのか」を知りたい方にも向けて書いています。仕事内容そのものは全国どこでもほぼ同じですが、その仕事を「いつ・誰が・どれだけの時間で」やるかは園ごとに違い、そこが働きやすさの差になるからです。

監修者 江波戸 純希
この記事の監修

江波戸 純希えばと よしき

WEBBOX合同会社 代表社員/スキマほいく 編集責任者

職業紹介責任者講習を修了し、有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍して、看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で転職支援を担当。この職業紹介に関する経歴は、本サービス以外での実務経験です。現在はWEBBOX合同会社の代表社員として保育士向けの求人情報サービス「スキマほいく」を運営し、厚生労働省・こども家庭庁の一次情報にあたりながら記事内容を確認しています。

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  1. 保育士の仕事内容を3層で理解する【わかりやすく】
  2. 保育士の1日の流れ【時間帯別スケジュール】
  3. 早番・中番・遅番で仕事内容はどう変わるか
  4. 【年齢別】0歳児〜5歳児で変わる保育士の仕事内容
  5. 見えない仕事①:書類・記録・計画
  6. 見えない仕事②:行事の企画と準備
  7. 見えない仕事③:保護者対応と連携
  8. 見えない仕事④:環境整備・安全管理・衛生
  9. 【施設別】保育園・こども園・小規模・企業内で仕事内容はどう違う?
  10. 正社員・パート・派遣・保育補助で担当範囲はどう違う?
  11. 保育士の仕事で大切なこと・求められる力
  12. 保育士の仕事量は多い?大変なことと、園によって変わる部分
  13. 保育士になるには?必要な資格と、資格なしでできる仕事
  14. 保育士の給料と、仕事内容に見合っているかの考え方
  15. 保育園以外で保育士の仕事内容を活かせる職場
  16. 働く園を選ぶとき、仕事内容について確認すべき7項目
  17. サポートを受けて転職したい人向けの転職エージェント
  18. 保育士の仕事内容に関するよくある質問
  19. まとめ:仕事内容は同じでも、負担は園で決まる

保育士の仕事内容を3層で理解する【わかりやすく】

保育士の仕事を一言でいえば、「子どもの生活と発達を、保護者と一緒に支える仕事」です。児童福祉法では、保育士は「専門的知識及び技術をもつて、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うこと」を業とする者と定められています。つまり法律上も、子どもへの保育と、保護者への支援の両方が仕事の柱です。

これを現場の実感に近い形で分けると、次の3層になります。

仕事の内容1日に占める時間の目安
① 子どもと直接関わる仕事食事・排泄・着替え・睡眠の援助、遊びの見守りと展開、安全確保、けんかの仲裁、言葉かけ6〜7時間
② 記録・計画の仕事保育日誌、連絡帳、指導計画(年・月・週・日案)、個人記録、児童票、要録、おたより30分〜2時間(園により大差)
③ 園を回す仕事保護者対応、行事の企画・準備、制作物、掃除・消毒・環境整備、職員会議、研修1〜2時間(時期により大差)

①「子どもと直接関わる仕事」が保育の本体

登園から降園までの間、子どもの生活全体を支えます。乳児なら授乳・おむつ替え・寝かしつけ、幼児なら着替えや食事のマナー、友達とのやり取りの仲立ち。「養護」と「教育」を一体で行うのが保育所保育の特徴で、遊びの中で子どもが何を学んでいるかを見取り、次の環境を用意するのが専門性の部分です。

②「記録・計画」は保育の質を担保する仕事

保育所は「保育所保育指針」に基づいて、園全体の「全体的な計画」を立て、そこから年間・月案・週案・日案へと計画を落とし込みます。日々の保育日誌や個人記録は、その計画を振り返るための材料です。この層の量と「いつ書くか」が、園ごとの負担差の最大の要因です。

③「園を回す仕事」は見えにくいが確実にある

運動会や発表会の企画、壁面制作、保護者会の準備、園だより、玩具の消毒、避難訓練。どれも保育の一部ですが、求人票にはほとんど書かれません。行事の規模と数、制作物へのこだわりの度合いで、年間の負担が数百時間単位で変わります。

保育士の1日の流れ【時間帯別スケジュール】

認可保育園(開所7:00〜19:00、日勤の常勤保育士)を例に、代表的な1日を追います。園によって細部は違いますが、骨格はほぼ共通です。

時間子どもの活動保育士の仕事
7:00〜順次登園早番が受け入れ。視診(顔色・傷・機嫌)、保護者から体調の聞き取り、合同保育で全年齢を見る
8:30〜9:00クラスへ移動、自由遊び中番出勤。担任がクラスを引き継ぎ、出席確認、連絡帳の確認
9:30〜朝の会、おやつ(乳児)手洗い・排泄の援助、手遊びや絵本、今日の活動の導入
10:00〜11:15設定保育・戸外遊び散歩の引率(人数確認・交通安全)、製作や運動遊びの展開、けんかの仲裁、写真記録
11:30〜12:30給食配膳・食事の援助・アレルギー確認(ダブルチェック)・片づけ・歯磨き
12:30〜14:30午睡寝かしつけ、5分または10分おきの呼吸チェック(SIDS対策)、この間に交代で休憩と書類
15:00〜起床、おやつ検温、着替えの援助、おやつの配膳
15:30〜16:30自由遊び、帰りの会今日の振り返り、翌日の連絡、順次降園の準備
16:30〜順次降園保護者へ今日の様子を伝える、引き渡し確認、遅番へ引き継ぎ
17:00〜19:00延長保育(合同)遅番が異年齢をまとめて保育、補食、最後の子まで見送り、施錠

「午睡の時間=休憩」ではない

1日の流れで誤解が多いのがここです。午睡中は呼吸チェックを続けながら、交代で休憩を取り、残った時間で日誌や連絡帳を書きます。子どもが寝ている2時間のうち、実際に手が空くのは30分〜1時間程度で、その間に書類が終わらなければ夕方以降か持ち帰りになります。

どこで「書類の時間」が確保されているかが分かれ目

近年は、子どもと離れて書類や計画を作る「ノンコンタクトタイム」を勤務時間内に制度として設ける園が増えています。この時間があるかどうかで、同じ仕事内容でも残業と持ち帰りの量が変わります。求人票には書かれにくい項目なので、後述の確認項目に含めています。

早番・中番・遅番で仕事内容はどう変わるか

開所時間が12時間前後ある保育園では、保育士がシフトを組んで交代で勤務します。担当する時間帯によって、仕事の中身と負担の質が変わります。

早番(7:00〜16:00ごろ)

開錠、換気、部屋の準備、受け入れが中心です。朝は保護者が急いでいるため、短い時間で体調と連絡事項を聞き取る力が求められます。異年齢の合同保育で全体を見る時間帯でもあり、他クラスの子の名前や特性を把握しておく必要があります。早く上がれるので、夕方の時間を確保したい人には合います。

中番(8:30〜17:30ごろ)

クラス担任としての中核の時間帯です。設定保育、給食、午睡、帰りの会と、1日の主要な活動をすべて担当します。書類や計画の作成もこの時間帯の担当者が担うことが多く、仕事量がもっとも多いシフトです。

遅番(10:00〜19:00ごろ)

降園時の保護者対応と延長保育が中心です。その日にあった出来事(けが・トラブル・体調)を保護者に正確に伝える役割を担うため、日中の担任からの引き継ぎが欠かせません。最後の子どもを見送ったあとに片づけと施錠をして退勤します。

土曜保育・年末保育

認可園の多くは土曜日も開所しており、月1〜2回程度の土曜出勤が入ります。登園する子どもが少ないため異年齢の合同保育になり、普段と違う子を見ることになります。土曜出勤の頻度は園によって差が大きく、「月に何回か」「振替休日が取れるか」は確認すべき項目です。

【年齢別】0歳児〜5歳児で変わる保育士の仕事内容

同じ保育士でも、担当する年齢で仕事の中身は大きく変わります。配置基準(保育士1人あたりの子どもの人数)も年齢で違い、乳児は身体的な援助が中心、幼児は集団活動の展開が中心になります。

年齢配置基準(保育士1人あたり)仕事の中心
0歳児3人授乳・ミルク、おむつ替え、離乳食、睡眠、発達に合わせた個別の関わり
1歳児6人(5人への改善が加算で進行中)歩行と探索の見守り、かみつき・ひっかきの予防、自我の芽生えへの対応
2歳児6人トイレトレーニング、着脱の自立、言葉の広がりを支える、簡単なルールのある遊び
3歳児15人(2024年度に20人から改善)集団生活の基礎、友達との関わりの仲立ち、製作・運動・音楽の設定保育
4歳児25人(2024年度に30人から改善)ルールのある遊び、協同的な活動、行事の中心的な担い手
5歳児25人就学に向けた生活習慣、文字や数への興味、要録の作成、小学校との連携

0歳児クラス:一人ひとりの生活リズムに合わせる

月齢によって発達が大きく違うため、一斉保育ではなく個別対応が基本です。ミルクの時間、離乳食の段階、睡眠のリズムは子どもごとに違い、それを記録しながら保護者と共有します。抱っこや寝かしつけで身体的な負担は大きい一方、行事の準備は幼児クラスより軽めです。授乳中の細かな観察や、乳幼児突然死症候群(SIDS)対策の呼吸チェックなど、命に直結する緊張感があるのもこの年齢です。

1・2歳児クラス:自我の芽生えと安全確保

歩けるようになり探索が広がる一方、言葉で気持ちを伝えきれないため、かみつきやひっかきが起きやすい時期です。トラブルを未然に防ぐ立ち位置と、起きたときの保護者への説明が仕事の重要な部分になります。トイレトレーニングや着脱の自立を支えるなど、生活習慣の援助が多い年齢でもあります。

3歳児クラス:集団生活の始まり

配置基準が一気に15対1になり、1人で見る人数が増えます。自分の気持ちを言葉で伝えられるようになる一方、友達との衝突も増えるため、仲立ちをしながら集団のルールを身につけさせる時期です。設定保育(製作・運動・音楽)の比重が高まり、指導計画の作成量も増えます。

4・5歳児クラス:協同的な活動と就学準備

運動会の競技や発表会の劇など、子ども同士が協力して一つのものを作り上げる活動を計画し、展開します。行事の中心を担うクラスなので、準備の負担は年齢別でもっとも大きくなります。5歳児では就学に向けて「保育所児童保育要録」を作成し、小学校へ送付します。一人ひとりの育ちを文章にまとめる作業で、年度末の大きな仕事です。

フリー保育士:全クラスを支える役割

特定のクラスを持たず、休みの職員の代わりに入ったり、行事の準備を手伝ったり、配慮が必要な子に個別についたりします。フリーの職員が何人いるかは、園の余裕をそのまま表す指標です。フリーがいない園では、誰かが休んだ瞬間に配置がぎりぎりになり、休憩も書類の時間も消えます。

見えない仕事①:書類・記録・計画

保育士の仕事量を語るとき、必ず出てくるのが書類です。「保育士は書類が多い」と言われますが、何をどれだけ書いているのかを知らないと、園を比べるときの基準になりません。

毎日書くもの

  • 保育日誌:その日の活動、子どもの様子、反省と評価。クラスに1冊
  • 連絡帳:乳児クラスは1人ずつ毎日。食事・睡眠・排泄・機嫌・家庭への連絡。アプリ化が進んでいる園もある
  • 個人記録・健康観察記録:検温、けが、体調の変化。SIDS対策の呼吸チェック表

定期的に作るもの

  • 指導計画:年間計画、月案、週案、日案。園の「全体的な計画」から降ろして作る
  • 個別の指導計画:3歳未満児と配慮を要する子は個別に作成する
  • 児童票・発達記録:数か月ごとに一人ひとりの育ちを記録する
  • おたより:クラスだより、園だより。月1回が一般的
  • 要録:5歳児の年度末に、小学校へ送る記録を作成

書類の「量」より「いつ書くか」が問題

書類の種類は全国どこでもほぼ同じです。違うのは、それを勤務時間内に書ける仕組みがあるかどうか。ICT化で連絡帳や日誌の入力時間が減っている園もあれば、手書きの伝統が残っている園もあります。「持ち帰り仕事はありますか」と聞くより、「書類はいつ書いていますか」「ノンコンタクトタイムは週に何時間ありますか」と聞くほうが実態が出ます。

見えない仕事②:行事の企画と準備

入園式、遠足、七夕、夏祭り、運動会、発表会、作品展、クリスマス会、節分、ひな祭り、卒園式。年間の行事は園によって10前後から20以上まで幅があります。

行事1つにかかる仕事

運動会を例にすると、競技の企画、練習の計画、衣装や道具の製作、プログラム作成、保護者への案内、当日の運営、終わったあとの振り返りと記録。1つの行事に数十時間の準備がかかることは珍しくありません。それが毎月あるか、年に数回かで、年間の負担は大きく変わります。

壁面制作と「作り込み」の文化

季節ごとに保育室の壁面を飾る園は多く、これも保育士の仕事です。凝った壁面や手の込んだ衣装を毎回求める園では、その分の作業が勤務時間外に回りやすくなります。逆に「子どもの作品を飾る」方針の園では、保育士の製作負担は小さくなります。園見学で壁面や掲示物を見ると、その園の作り込みの度合いが分かります。

行事の数が減っている園もある

近年は「行事のための保育」を見直し、行事を減らしたり規模を小さくしたりする園も増えています。行事が多いことが良い園の証拠ではありません。子どもの日常を大切にする方針の園は、保育士の負担も軽くなる傾向があります。

見えない仕事③:保護者対応と連携

児童福祉法が定めるとおり、保護者への支援は保育士の正式な仕事です。日々の送迎時のやり取りから、面談、クレーム対応、家庭の事情への配慮まで含まれます。

送迎時の伝達

朝は体調と家庭での様子を聞き取り、夕方はその日の出来事を伝えます。けがやトラブルがあった日は、事実と園の対応を正確に伝える必要があり、伝え方ひとつで信頼関係が変わります。

個人面談・保護者会

年1〜2回の個人面談では、園での姿と家庭での姿をすり合わせ、発達の見通しを共有します。配慮が必要な子については、専門機関との連携を提案することもあります。保護者会や参観日の準備・運営も担当します。

クレームと難しい保護者への対応

「けがをして帰ってきた」「うちの子ばかり注意される」といった訴えは、どの園でも起こります。感情的にならず事実を確認し、園として対応するのが基本です。担任ひとりで抱え込まず、主任や園長が一緒に対応する体制があるかどうかは、園選びの重要な観点です。

虐待の兆候への気づきと通告

保育士は子どもの身体や様子を毎日見ているため、家庭での虐待に気づきやすい立場にあります。気になる傷や様子があれば記録し、園長に報告し、必要に応じて児童相談所や自治体へ通告します。保育士には通告の義務があり、これも仕事の一部です。

見えない仕事④:環境整備・安全管理・衛生

掃除・消毒・洗濯

保育室、トイレ、玩具、寝具の清掃と消毒は毎日の仕事です。感染症が流行する時期は消毒の頻度が上がります。用務員や清掃スタッフがいる園では負担が軽くなり、いない園では保育士がすべて担います。

安全点検とヒヤリハット

遊具の点検、誤飲の危険がある物の管理、散歩コースの安全確認。事故に至らなかった「ヒヤリハット」を記録して共有する園が増えています。子どもの安全を守る仕事は、保育のすべてに優先します。

避難訓練と防災

月1回の避難訓練は、認可保育所では義務です。地震・火災・不審者など想定を変えながら実施し、記録します。

アレルギー対応

食物アレルギーのある子には除去食や代替食を提供し、配膳時にはダブルチェックを行います。誤食は命に関わるため、給食の時間は1日でもっとも緊張する場面のひとつです。

【施設別】保育園・こども園・小規模・企業内で仕事内容はどう違う?

「保育士の仕事内容」は施設の種類で変わります。同じ資格でも、働く場所を変えるだけで負担の質が変わることは、転職を考えるときに知っておくべきポイントです。

施設対象仕事内容の特徴負担の傾向
認可保育園0〜5歳上で説明した全体像そのもの。クラス担任として全層を担う行事・書類ともに標準〜多め。園による差が大きい
認定こども園0〜5歳保育に加えて幼児教育の要素。1号認定(幼稚園枠)の子は14時降園行事が多め。教育的な計画が増える
小規模保育0〜2歳、19人以下乳児の生活援助が中心。異年齢で家庭的な保育行事・書類は軽め。職員が少なく人間関係が濃い
企業主導型・事業所内0〜5歳、少人数従業員の子を預かる。定員が小さく異年齢行事は少なめ。カレンダー通りの休みの施設も
院内保育0〜5歳、少人数病院職員の子を預かる。夜勤がある施設も行事・書類はほぼなし。夜勤の有無で負担が変わる
病児保育体調不良の子看護師と連携し、体調管理と安静を中心にした保育製作・行事なし。医療的な知識が必要
児童発達支援・放課後等デイ発達に支援が必要な子個別支援計画に沿った療育。少人数集団保育の慌ただしさは少ない。専門性が求められる
学童保育小学生放課後の見守り、宿題の支援、遊びの提供身体介助なし。午後からの勤務が中心

「保育園以外」の選択肢を知っておく意味

いまの園の仕事内容が合わないと感じたとき、「保育士に向いていない」と考える前に、仕事内容の構成が違う施設を知っておくと判断が変わります。行事と書類が負担なら院内保育や企業内保育、大人数の同時対応が負担なら小規模や児童発達支援、というように、負担の種類に応じて選べます。それぞれの実態は院内保育とは?児童発達支援・放課後等デイで働く保育士保育士の働き方と職場の選び方で詳しく解説しています。

正社員・パート・派遣・保育補助で担当範囲はどう違う?

仕事内容は雇用形態によっても変わります。とくに書類・行事・保護者対応という「見えない仕事」を誰が担うかが違います。

雇用形態子どもとの関わり書類・計画行事・保護者対応
正社員(担任)クラスの中心すべて担当企画から運営まで担当
正社員(フリー)各クラスの補助一部(記録の補助)準備の手伝いが中心
パート担任の補助、特定時間帯の保育原則なし〜連絡帳の一部当日の運営補助
派遣契約で定めた業務契約による(書類なしが多い)契約による
保育補助(無資格可)担任の指示のもと援助なし準備の手伝い

「担任を持つかどうか」で仕事の重さは倍変わる

担任には、クラス運営の責任、指導計画の作成、保護者への窓口という役割がすべて乗ります。同じ正社員でも、フリーの立場であればこの大半が外れます。体力や家庭の事情で担任の負担が重いなら、雇用形態や役割を変えるという選択肢があります。派遣やパートの働き方の詳細は派遣保育士とは?、資格なしで入る場合は保育補助の仕事をご覧ください。

保育士の仕事で大切なこと・求められる力

「子どもが好き」は出発点ですが、それだけでは務まりません。現場で実際に求められる力を、仕事内容の3層に対応させて整理します。

観察して言語化する力

子どもの小さな変化(表情・食欲・遊び方)に気づき、それが何を意味するかを考え、記録や保護者への説明として言葉にする力です。保育の専門性の核はここで、経験を重ねるほど精度が上がります。

同時に複数を見る力

製作の援助をしながら、部屋の反対側でけんかが始まりそうな気配に気づく。給食の配膳をしながら、アレルギーの子の皿を確認する。注意を分散させながら安全を守る力は、経験で鍛えられます。

伝える力・聞く力

保護者に対しては、事実を正確に、しかし相手を責めずに伝える力。同僚に対しては、引き継ぎを漏れなく伝え、分からないことを聞ける力。保育は必ずチームで行う仕事なので、ここが弱いと孤立します。

体力と、体力に頼らない工夫

抱っこ、おんぶ、床への座り込み、走る子を追う。身体的な負担は確実にあります。ただし、抱き上げ方や動線の工夫、年齢や役割の選び方で、体力への依存度は下げられます。年齢を重ねても続けている保育士は、無理をしない工夫を持っています。

切り替える力

子どもに何度も同じことを言い、保護者に厳しいことを言われ、書類が終わらない。そんな日でも翌朝には笑顔で受け入れる必要があります。仕事を家に持ち込まない習慣は、長く続けるための技術です。

保育士の仕事量は多い?大変なことと、園によって変わる部分

保育士の仕事は大変です。ただし、大変さの中身は「保育そのものの大変さ」と「園の運営で決まる大変さ」に分かれます。ここを分けて考えないと、辞めるべきなのが保育なのか、いまの園なのかを取り違えます。

保育そのものの大変さ(どこでも同じ)

  • 子どもの命を預かる責任と緊張
  • 身体的な負担(抱っこ、腰痛、感染症)
  • 子どもの気持ちに寄り添い続ける感情労働
  • 休憩が取りにくい業務の性質

園の運営で決まる大変さ(園で変わる)

  • 書類を勤務時間内に書けるか、持ち帰るか
  • 行事の数と規模、制作物の作り込み
  • 配置に余裕があるか(フリーの人数)
  • 休憩が実際に取れるか
  • 有給が取れるか、土曜出勤の頻度
  • 職員間の人間関係、園長・主任の姿勢

厚生労働省の調査でも、保育士の離職理由の上位は「職場の人間関係」「給料が安い」「仕事量が多い」「労働時間が長い」で、いずれも園の運営で決まる項目です。仕事量が多いと感じているなら、まず自分の園の状態が「園の運営で決まる部分」のどこに当たるかを確認してみてください。判断の整理は保育士を辞めたいと思ったら、悩みの全体像は保育士の悩みランキングにまとめています。

保育士になるには?必要な資格と、資格なしでできる仕事

保育士資格の取り方は2通り

保育士は国家資格で、①指定保育士養成施設(大学・短大・専門学校)を卒業する、②保育士試験に合格する、のどちらかで取得します。試験は年2回実施され、筆記9科目と実技(音楽・造形・言語から2つ選択)があります。取得後は都道府県に登録し、保育士証の交付を受けて初めて「保育士」を名乗れます。資格に更新制度はなく、一度取れば失効しません。

資格なしでもできる仕事

保育補助は資格がなくても働けます。担任の指示のもとで子どもの援助や環境整備を行い、書類や保護者対応は原則ありません。現場を経験しながら保育士試験を目指すルートとして現実的です。詳しくは保育補助の仕事内容をご覧ください。

幼稚園教諭との違い

幼稚園教諭は文部科学省管轄の「教員免許」で、幼稚園で3〜5歳児の教育を行います。保育士は厚生労働省(現在はこども家庭庁)管轄の「福祉の資格」で、0歳から預かり、生活全体を支えます。認定こども園の増加で両方を持つ人が増えており、違いの詳細は保育士と幼稚園教諭の違いで比較しています。

保育士の給料と、仕事内容に見合っているかの考え方

保育士の平均年収は約400万円台前半で、全産業平均より低い水準にあります。ただし、ここ数年は処遇改善の加算や公定価格の引き上げが続き、上昇傾向にあります。

給料は「仕事内容」ではなく「園の給与テーブル」で決まる

同じ仕事をしていても、園によって年収に数十万円の差が出ます。処遇改善等加算をどう配分するか、役職手当があるか、賞与の算定基準は何か。仕事内容が同じなら、給料の差は園の仕組みの差です。年代別・地域別の相場は保育士の給料はいくら?、役職と研修で上げる方法は保育士等キャリアアップ研修とはで解説しています。

保育園以外で保育士の仕事内容を活かせる職場

保育士資格は保育園だけの資格ではありません。児童福祉施設全般で「保育士」として働けるほか、経験を活かせる仕事は広くあります。

  • 児童福祉施設:児童養護施設、乳児院、母子生活支援施設、障害児入所施設
  • 療育:児童発達支援、放課後等デイサービス
  • 医療:病棟保育士、病児保育室、院内保育
  • 地域子育て支援:子育て支援センター、一時預かり、ファミリーサポート
  • その他:ベビーシッター、託児付き施設のキッズスペース、幼児教室、保育系企業

それぞれの仕事内容と探し方は保育士資格を活かせる仕事、異業種も含めた選択肢は保育士から違う仕事への転職にまとめています。

働く園を選ぶとき、仕事内容について確認すべき7項目

ここまで見てきたとおり、仕事内容は同じでも負担は園で決まります。応募前・面接時に確認しておきたい項目を挙げます。

  1. 書類はいつ書いているか。ノンコンタクトタイムが週に何時間あるか
  2. ICT化の状況。連絡帳・日誌・指導計画のどれがアプリ化されているか
  3. 年間の行事数と規模。運動会・発表会の準備期間はどのくらいか
  4. 壁面や制作物の方針。保育士が作るのか、子どもの作品を飾るのか
  5. フリー保育士の人数。誰かが休んだとき誰が入るのか
  6. 休憩の実態。午睡中に交代で取れているか、何分取れているか
  7. 土曜出勤の頻度と振替。月に何回か、振替休日は取れているか

これらは求人票にはほとんど書かれていません。面接で角を立てずに聞く言い回しは保育士の面接でよく聞かれる質問と答え方にまとめています。実際に1日働いて確かめる方法もあり、園の空気は入ってみると数時間で分かります。単発で園を見る仕組みは保育士の単発バイトで解説しています。

サポートを受けて転職したい人向けの転職エージェント

自分で求人を探して直接応募するのが合う方もいれば、担当者に相談しながら、年収などの条件交渉まで任せたいという方もいます。「サポートを受けて、しっかり転職したい」という場合は、次のような転職エージェントも選択肢になります。

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保育士の仕事内容に関するよくある質問

保育士の仕事内容を簡単に言うと何ですか?

子どもの生活(食事・排泄・睡眠・着替え)と遊びを支え、発達を記録して計画に落とし、保護者と連携する仕事です。大きく「子どもと直接関わる仕事」「記録・計画」「行事・保護者対応・環境整備」の3つに分かれます。

保育士の1日の仕事の流れは?

7時ごろの受け入れから始まり、朝の会、設定保育や戸外遊び、給食、午睡(この間に休憩と書類)、おやつ、帰りの会、降園時の保護者対応、延長保育と続き、19時ごろに閉園します。早番・中番・遅番のシフトで分担します。

保育士の仕事量は多いですか?

書類・行事・保護者対応を含めると多くなりがちですが、量は園で大きく変わります。書類を勤務時間内に書ける仕組みやICT化、行事の数、フリー保育士の人数によって、同じ仕事内容でも残業や持ち帰りの量が違います。

保育士の仕事で大切なことは何ですか?

子どもの安全を最優先すること、小さな変化に気づいて言葉にすること、保護者や同僚と正確に伝え合うことです。「子どもが好き」に加えて、観察力・同時に複数を見る力・伝える力が求められます。

保育士は年齢によって仕事内容が変わりますか?

大きく変わります。0〜2歳児は授乳・おむつ替え・生活習慣の援助など身体的な援助が中心で、配置基準も手厚くなります。3〜5歳児は集団活動や行事の展開が中心になり、5歳児は就学に向けた要録の作成も加わります。

保育士の書類仕事にはどんなものがありますか?

毎日の保育日誌・連絡帳・健康記録、定期的な指導計画(年・月・週・日案)、個人記録・児童票、クラスだより、5歳児の要録などです。種類は全国ほぼ共通ですが、勤務時間内に書けるかどうかは園によって違います。

保育士の仕事に資格は必要ですか?

「保育士」として働くには国家資格が必要です。養成施設の卒業か保育士試験の合格で取得します。資格がなくても保育補助として働くことはでき、現場を経験しながら試験を目指すルートもあります。

保育園以外で保育士の仕事内容を活かせる場所はありますか?

児童養護施設や乳児院などの児童福祉施設、児童発達支援・放課後等デイサービス、病棟保育・病児保育・院内保育、子育て支援センター、ベビーシッターなど幅広くあります。行事や書類が少ない職場も多く、負担の種類に応じて選べます。

保育士の仕事内容は幼稚園教諭とどう違いますか?

保育士は0歳から預かり生活全体を支える福祉の資格、幼稚園教諭は3〜5歳児の教育を行う教員免許です。開所時間や書類の種類、行事の性質が異なります。認定こども園では両方の役割を担うため、両資格を持つ人が増えています。

まとめ:仕事内容は同じでも、負担は園で決まる

  • 保育士の仕事は「子どもと関わる」「記録・計画」「園を回す」の3層
  • 1日の流れは早番・中番・遅番で分担し、午睡中も呼吸チェックと書類で手は空かない
  • 年齢で仕事は変わる。乳児は個別の生活援助、幼児は集団活動と行事が中心
  • 書類の種類・行事の存在は全国共通。違うのは「いつ・誰が・どれだけの時間で」やるか
  • 負担が重いなら、辞める前に施設の種類・雇用形態・園の運営のどこが原因かを切り分ける

仕事内容を知ることは、園を比べる基準を持つことでもあります。これから保育士を目指す方は、働く場所によって同じ仕事の重さが変わることを知ったうえで園を選んでください。いま働いている方は、自分の園の状態を保育士の配置基準保育士の働き方と職場の選び方と照らし合わせてみてください。やりがいを感じられる園の条件は保育士のやりがいと大変なことで整理しています。