この記事の結論
保育士の悩みは12種類にほぼ集約でき、そのうち9つは「園を変える」または「働き方を変える」で軽くなります。ストレスの中身を見ていくと、原因は仕事の性質ではなく人員配置の余裕・行事の量・書類の量・園長の姿勢といった、園ごとの運営設計に集中しています。「保育士はきつい」「やめとけ」と言われるのは平均的な労働環境の話であって、すべての園がそうなわけではありません。
- 保育士の悩み12種類と、それぞれの解決策が分かる
- 立場別(新人・中堅・主任・パート派遣)の悩みの違いが分かる
- ストレスを環境で減らす具体策が分かる
保育士の仕事は、外から見ると「子どもと遊ぶ仕事」に見えます。実際には、命を預かる緊張、終わらない書類、逃げ場のない人間関係、そして低くない責任のわりに高くない給与。悩みの種類は多く、しかもそれぞれが重なり合っています。
この記事では、現場でよく挙がる悩みを12個に整理し、「これは環境で解決できるのか、できないのか」という軸で並べます。全部を一度に解決しようとすると動けなくなるので、優先順位をつけるための地図として使ってください。

江波戸 純希えばと よしき
WEBBOX合同会社 代表社員/スキマほいく 編集責任者
職業紹介責任者講習を修了し、有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍して、看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で転職支援を担当。この職業紹介に関する経歴は、本サービス以外での実務経験です。現在はWEBBOX合同会社の代表社員として保育士向けの求人情報サービス「スキマほいく」を運営し、厚生労働省・こども家庭庁の一次情報にあたりながら記事内容を確認しています。
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保育士の悩みランキング12【環境で解決できる度つき】
現場でよく挙がる悩みを、多い順に並べました。右端は「園や働き方を変えることで軽くなるか」の目安です。
| 順位 | 悩み | 環境で解決できる度 |
|---|---|---|
| 1 | 職場の人間関係 | ◎ 園による差が最大 |
| 2 | 持ち帰り仕事・サービス残業 | ◎ 園による差が大きい |
| 3 | 給料が生活に見合わない | ○ 園・雇用形態で変わる |
| 4 | 書類・指導計画の多さ | ◎ 園による差が大きい |
| 5 | 行事の準備が終わらない | ◎ 園による差が大きい |
| 6 | 人手不足で余裕がない | ◎ 配置に余裕のある園はある |
| 7 | 保護者対応の重さ | ○ 職場の種類で変わる |
| 8 | 体力が続かない | ○ 年齢層・行事量で変わる |
| 9 | 保育方針が合わない | ◎ 園を選べば解決する |
| 10 | キャリアの見通しが立たない | ○ 職場の種類で道が増える |
| 11 | 命を預かる責任の重さ | △ 担任を外れれば軽くなる |
| 12 | 子どもと関わること自体がつらい | × 環境では解決しにくい |
見てのとおり、12個のうち9つは◎か○です。つまり保育士の悩みの大半は、仕事の性質ではなく園ごとの運営のしかたから来ています。
「保育士なんだから仕方ない」と言われがちなことのほとんどが、実は「この園ではそうなっている」というだけの話です。ここを取り違えると、環境を変えれば済むことに対して自分の忍耐を削り続けることになります。
保育士のストレスは、どこから来ているのか
ストレスの原因を分解すると、大きく3層に分かれます。
| 層 | 中身 | 変えられるか |
|---|---|---|
| ① 仕事そのものの性質 | 命を預かる緊張、正解のなさ、感情労働 | 職種を変えないと消えない |
| ② 園の運営設計 | 人員配置、行事量、書類量、園長の姿勢 | 園を変えれば変わる |
| ③ 雇用形態 | 担任の責任、勤務時間、賞与の有無 | 働き方を変えれば変わる |
多くの人が「①がつらいから保育士を辞めたい」と考えますが、実際に消耗の大半をつくっているのは②と③です。①だけを取り出せば、子どもの成長に立ち会えること自体をつらいと感じる人は多くありません。
②と③を変えると何が起きるかは、保育士の働き方と職場の選び方で職場13種類と雇用形態5つを比較しています。
「保育士はきつい」と言われる理由は4つに整理できる
- ① 労働時間が実態より長い — 定時で上がれない構造。持ち帰りが常態化している園がある
- ② 責任の重さと給与が釣り合わない — 命を預かる仕事としての緊張に対して、報酬が見合いにくい
- ③ 感情労働である — 自分の体調に関係なく、笑顔と落ち着きを求められる
- ④ 逃げ場がない — 保育室から離れられず、人間関係も固定される
ただし、この4つはすべての園に等しく当てはまるわけではありません。①は園の書類量と行事量で決まり、②は処遇改善の配分と家賃補助の有無で変わり、④は職員配置と園の広さで変わります。
「保育士がきつい」ではなく「きつい園がある」というのが正確です。給与面の実態は保育士の給料は手取りいくら?、家賃補助で手取りがどう変わるかは保育士の家賃補助・住宅手当をご覧ください。
「保育士はやめとけ」は本当か
ネット上でよく見る言葉ですが、これは「平均的な労働環境の話」として読むのが正確です。平均を語る言葉なので、個別の園には当てはまりません。
| 「やめとけ」の根拠 | 実際のところ |
|---|---|
| 給料が安い | 2024〜2026年にかけて処遇改善が続いており、平均年収は400万円台に。園による差も大きい |
| 残業が多い | 園による。書類が電子化され定時退勤が徹底されている園もある |
| 人間関係がきつい | 園による。職員配置と会議の仕組みで大きく変わる |
| 体力的にきつい | 0〜2歳中心か、学齢期中心かで負担がまったく違う |
| 責任が重い | 事実。ただし担任を持たない働き方もある |
唯一「事実」と言えるのは責任の重さですが、これは裏を返せば専門職として求められ続ける理由でもあります。人手不足が続いており、資格があれば働く場所がなくなることはまずありません。
立場別・保育士の悩みの違い
同じ「保育士の悩み」でも、立場によって中身が変わります。
| 立場 | 多い悩み | 効きやすい対処 |
|---|---|---|
| 1〜2年目 | 指導が人によって違う、比較されるつらさ、体力 | できたことを記録して自己評価を守る |
| 3〜5年目 | 担任の責任、書類量、後輩指導が加わる | 業務の棚卸し。園を変える判断もこの時期に |
| 中堅(6年目〜) | 給与の頭打ち、キャリアの見通し | 職場の種類を変える/資格を活かす道を検討 |
| 主任・リーダー | 板挟み、現場と経営の間、評価する側の孤独 | 相談先を法人本部や外部に持つ |
| パート・派遣 | 輪に入りにくい、契約外の業務を求められる | 業務範囲を書面で確認。派遣は担当者へ相談 |
| ブランクからの復帰 | ついていけるかの不安、浦島感 | 単発や補助から段階的に戻る |
主任保育士の悩みは相談先が少ないのが特徴です。園長には言いにくく、部下にも言えない。法人の本部や外部の相談窓口を持っておくことが、いちばん現実的な対処になります。
派遣の場合、契約外の業務を求められたら園ではなく派遣会社の担当者に相談するのが正しいルートです。詳しくは派遣保育士とは?で解説しています。1〜2年目の悩みは保育士1年目で辞めたい人向けの進め方、復帰後の不安は潜在保育士の復職もどうぞ。
ストレスを環境で減らす5つの方法
個人の心がけより先に、環境側を変えるほうが効果が大きい部分です。
- ① 書類と行事の量が少ない職場へ移る
院内保育、企業内保育、小規模保育園は、指導計画も行事も大幅に軽くなります。持ち帰り仕事がゼロになる人もいます。 - ② 人員配置に余裕のある園を選ぶ
配置基準ぎりぎりの園では、誰が働いても余裕がなくなります。求人票の定員と職員数を必ず確認してください。 - ③ 担任を持たない働き方に変える
パートや派遣なら、指導計画・保護者面談・行事の責任から外れられます。 - ④ 子どもの年齢層を変える
体力の負担は年齢層で大きく変わります。抱っこが減るだけで腰の状態が変わることもあります。 - ⑤ 保護者との関係が穏やかな職場を選ぶ
院内保育・企業内保育は保護者が同じ組織の職員で、こじれにくい構造です。
監修者コメント江波戸 純希(WEBBOX合同会社 代表社員/スキマほいく 編集責任者)個人の工夫でできることもありますが、正直に言えば限界があります。人員配置が足りない、書類が多すぎるという問題は、誰が担当しても同じ結果になります。
だからこそ、自分の努力を疑う前に、環境側を疑ってほしいと思っています。
「余裕のある園」は、1日入れば分かります
スキマほいくなら、気になる園で単発1日から働けます。職員配置の余裕や職員室の空気は、求人票には書いてありません。登録は無料・最短5分。
無料で登録して求人をさがす個人でできる対処法(限界も含めて)
環境を変えるまでの間、負担を減らすためにできることもあります。ただしこれらは対症療法であって、根本の解決ではないことは踏まえておいてください。
| できること | 効果 | 限界 |
|---|---|---|
| 指示を復唱して記録する | 言った・言わないを防げる | 相手が変わるわけではない |
| 感情の相談は園の外でする | 情報が回るリスクを避けられる | 職場の構造は変わらない |
| できたことを月1回書き出す | 自己評価が下がりすぎるのを防ぐ | 業務量は減らない |
| 有給を使って数日離れる | 判断力が戻る | 戻れば同じ状況 |
| 苦手を先に公言する | フォローを頼みやすくなる | 園の空気による |
「もっと工夫すれば」「自分が強くなれば」と考える方ほど、真面目に働いています。ただ、個人の努力で埋められる範囲には限界があります。人員配置が足りない、書類が多すぎるといった問題は、誰が担当しても同じ結果になります。
悩みが「限界のサイン」に変わるとき
次の状態が続いているなら、対処を考える段階ではなく休む段階です。
- 朝、体が動かない/出勤前に涙が出る
- 眠れない日が続いている
- 食欲がない、体重が急に減った
- 休日も仕事のことばかり考えてしまう
- 子どもにきつく当たってしまう自分が怖い
心身の不調がある場合、転職活動より受診が先です。また、不調があれば年度途中でも退職できます。民法上、期間の定めのない雇用は申し出から2週間で退職でき、医師の診断書があれば「やむを得ない事由」としても扱われます。
※この記事は医学的な助言を行うものではありません。不調が続く場合は医療機関にご相談ください。
保育士が悩みを相談できる場所
| 相談先 | 扱う内容 | 費用 |
|---|---|---|
| 総合労働相談コーナー(各労働局・労基署内) | いじめ・嫌がらせ、パワハラ、労働条件全般 | 無料・予約不要 |
| 労働基準監督署 | 賃金未払い、違法な長時間労働 | 無料 |
| 保育士・保育所支援センター | 就業・復職の相談 | 無料 |
| 法人の本部・コンプライアンス窓口 | 園長より上の階層への相談 | — |
| 医療機関(心療内科など) | 心身の不調 | 保険診療 |
※総合労働相談コーナーは厚生労働省が全国に設置している窓口で、誰でも無料で利用できます。詳しくは厚生労働省の案内をご確認ください。
サポートを受けて転職したい人向けの転職エージェント
自分で求人を探して直接応募するのが合う方もいれば、担当者に相談しながら、年収などの条件交渉まで任せたいという方もいます。「サポートを受けて、しっかり転職したい」という場合は、次のような転職エージェントも選択肢になります。
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- 公開求人数
- 約15,000件
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- 首都圏の求人に強く、都市部で転職を考えている保育士さんに向いている
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- 履歴書の添削や面接対策などのサポートが手厚く、初めての転職でも安心
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- 手厚いサポートを受けたい
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保育業界トップクラスの求人数!
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向き・不向き
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保育士の悩みに関するよくある質問
保育士の悩みで最も多いのは何ですか?
職場の人間関係です。次いで持ち帰り仕事・サービス残業、給料、書類の多さが続きます。これらはいずれも園による差が大きく、保育士という職業に固有の問題ではありません。
保育士はやめとけと言われますが、本当ですか?
平均的な労働環境についての話であって、すべての園に当てはまるわけではありません。給与は処遇改善で上昇傾向にあり、残業や人間関係は園ごとの運営設計で大きく変わります。責任の重さは事実ですが、担任を持たない働き方も選べます。
保育士のストレスを減らすにはどうすればいいですか?
個人の工夫より、環境を変えるほうが効果が大きい分野です。書類と行事の少ない職場(院内保育・小規模保育園など)を選ぶ、人員配置に余裕のある園を選ぶ、担任を持たない働き方に変える、といった方法があります。
悩みを職場の同僚に相談してもいいですか?
業務の相談は問題ありませんが、感情や本音は園の外の相手にしてください。保育園は職員室が狭く、悪意がなくても話が回ります。相談内容が本人に伝わって状況が悪化するケースが少なくありません。
主任保育士の悩みは、どこに相談すればいいですか?
園長にも部下にも言いにくい立場のため、法人の本部や外部の窓口を持っておくのが現実的です。労働条件に関わることなら、総合労働相談コーナーが無料で利用できます。
人手不足で余裕がありません。改善する見込みはありますか?
園によります。採用に力を入れている園もあれば、慢性的に配置基準ぎりぎりで運営している園もあります。求人票の定員と職員数、クラス担任の配置人数を見れば、ある程度は事前に判断できます。
悩みが続いていますが、辞めるべきか分かりません。
まず「保育士が嫌なのか、今の園が嫌なのか」を紙に書き出して仕分けてください。悩みの多くは園ごとの運営設計から来ているため、園を変えるだけで解決することがあります。心身に不調が出ている場合は、判断より先に休んでください。
監修者コメント江波戸 純希(WEBBOX合同会社 代表社員/スキマほいく 編集責任者)主任やリーダーの方の相談が、いちばん行き場を失いがちです。園長には言いにくく、部下にも言えない。
そういうときこそ、法人の本部や外部の窓口を持っておいてください。総合労働相談コーナーは無料で、判断に迷う段階でも使えます。
まとめ:悩みの9割は、園ごとの運営設計から来ている
- 保育士の悩み12個のうち、9つは環境を変えれば軽くなる
- ストレスの正体は仕事の性質より、人員配置・行事量・書類量・園長の姿勢
- 「きつい」「やめとけ」は平均の話。個別の園には当てはまらない
- 個人の努力には限界がある。先に環境側を疑う
- 心身に不調が出たら、対処ではなく休養が先
悩みが多いこと自体は、あなたが弱いからではありません。同じ資格で働いていても、環境が違えば悩みの量はまったく違います。まずは今の環境が普通なのかどうかを確かめるところから始めてください。辞めたい気持ちの整理は保育士を辞めたいと思ったら、人間関係が中心なら保育士の人間関係がつらいとき、適性で迷っているなら保育士に向いてないと感じたらをご覧ください。
悩みを聞いていて感じるのは、そのほとんどが「園ごとの運営設計」から来ているということです。人員配置、行事の量、書類の量、園長の姿勢。
「保育士なんだから仕方ない」と言われがちなことの多くが、実は「この園ではそうなっている」というだけの話です。